第05話 強檸檬炭酸水で珈琲を割る

冷凍庫のような書斎で我、何思う?

家庭の事情で、吾輩・我妻・彼女・彼氏が集う職場を

長期休暇することになった。本日は欠勤初日である。

それを危惧して彼女さんに、連絡先の交換を迫るも拒否された。

我妻も反対だったと言う。

そもそも彼女さんと我妻を結ぶ協定だったのに

双方からNGが出てしまうのだろう?


年下彼女さんにMICを押し当てる訳には行かないので

我妻の言い分をRECしようと試みたら

「親しくなればなるほど、重圧を感じてしまう」

と、言う意見を訊くことが出来た。

彼女さんも同じ気持ちなら、お互い距離感に戸惑いながら

その一方では、親しくしたいと思っている、のだろうか?


吾輩は彼女さんの気持ちを逆撫でする訳には行かないので

彼氏くんと連絡を取るほか無いが、彼は今、在学中だし、

前回の試験結果を本当に悔いているので

担当教科の先生の出題傾向を読んだり、

定着し易い勉強法を確立したいと願っている筈だ。


吾輩は今を羽ばたく見習い作家でありながら、

熟女彼氏くんに作品を勧めることが出来ない。

とても嘆かわしい事実ではあるが、彼にとって

「枕草子」や「児子のそら寝」の方が重要図書である。

ホットコーヒーをすすっている人に

強炭酸水を勧めても、露骨に嫌な顔をされるように

同じ飲料でも、今、欲しているものは全然違う!

と、拒否される材料をこしらえている気分だ。


取り敢えず、職場には行かないので

彼女さんの様子は、彼氏くんから伝え訊く他無いし

我妻もこれ以上、連絡先交換に躍起になることはないので

現状を打破して、職場復帰する他無い。

この際、我が家で起こっていることを話してみようか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る