第3話 主役交代!?
チェンバート・ワッツ
彼の屋敷に着くと、彼の家族、親戚、友人たち総勢数十人がすでにその場に集まっていた。
そんな中、俺についてきたナータ・キーユが7大聖女の力を使って
だから称えられるべきはナータ・キーユのはずなのだが、なぜか皆俺に礼を言ってくるのである。
その中でも一番熱心にこの俺に礼を言ってきたのが、彼の親友で、この物語の主人公、サーベ・ムチョルク男爵だった。
「ダッカス・ユアンク
「いや、僕は何もしていませんよ! あなたも見ていた通り、この聖女様があなたの友人の命をお救いになったんです! 僕はそれをただ隣で見ていただけですよ!」
「なんと! ご自分でされたことも聖女様のお力だとおっしゃるのですか? 何て美しい心をお待ちなのしょう! ・・・・・・友人になってくださいとお願いするつもりでしたが、ぜひ私の師匠になってくださいませ!」
「いや、そうじゃなくて、この聖女様があなたには見えないのですか?」
俺は、いいことをしたのだから早く頭をなでなでしてくれと甘えてくる聖女様の頭を押しのけながら言った。
「ああ! あなた様のように尊い方にはいつも聖女様が見えているのですね! すばらしい!」
どうやらここにいるの者の中でこの聖女様の姿が見えているのは俺だけのようだった。
それならばと、俺は少し違う角度から相手の説得を試みることにした。
「僕はこの身なりを見ていただいてもわかると通り、すっかり落ちぶれた名ばかりの貧乏子爵です。お付きの者も子どもの頃からずっと付いてくれている爺やしかいません。とてもあなたの友人に、ましては師匠なんかになれる男ではありませんよ! それに私は吸血貴族ですし・・・・・・」
「何をおっしゃるのですか! あなた様は随分前から、女性の血など一滴も吸ってらっしゃらないではないですか! そんなに痩せ細ってもあなた様は自分が決めたことを貫こうとしてらっしゃる! ・・・・・・正直、私はそんなのは世間に向けてのポーズなのだろうと思っていました。・・・・・・でも、今夜あなた様にお会いしてその考えが大間違いであったことにようやく気づきました! だから安心してくださいませ、ダッカス・ユアンク子爵様! このサーベ・ムチョルクが全ての私財を
「いけません! あなたはこの物語の主人公なのですよ! 僕のような悪役と関わってはいけません! この物語が崩壊してしまいます! あなたには美しいエンディングを迎える権利と義務があるのですから!」
「私が物語の主人公? そんな馬鹿な! あなた様に関わったら崩壊してしまうような物語なら、崩壊してしまえばいいのです! これが物語であるのならば主人公は、私ではなく、ダッカス・ユアンク子爵、あなた様です! 私などは
結局、俺はサーベ・ムチョルク男爵の熱意に負けて彼の友人になることを自分に許してしまった。
だが、その数日後、今度はこの物語のヒロインであるはずのミッシャー・オルゼンが
※※※
第3話も最後までお読みくださりありがとうございます!
ここまでで、俺(ダッカス・ユアンク子爵)のことを応援してやろう、もう少し見守ってやろうと思われたら、作品フォローや★評価をしてもらえるとすごくうれしいです!
【次回予告】
第4話 ヒロイン登場!?
悪女化しているヒロインに俺は会いに行く!
一体どうなる第4話っ!
どうぞご期待くださいませm(__)m
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