クリスマスは祝日じゃないからクリスマスに遊んでいる奴は基本ニートだと決め付ける自称評論家、信者を獲得しパワーアップする

 


 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 スキル〈格闘術〉〈追剥術〉〈直感〉〈威圧〉を獲得しました。

 スキル〈格闘術〉〈追剥術〉〈直感〉〈威圧〉のレベルが1から5に上昇しました。

 スキル〈脅迫〉のレベルが3こら5に上昇しました》


 何やら冒険者達の制圧を終えると、色々とスキルを獲得した。

 威圧と脅迫と言うした覚えのない失礼なスキルまでレベルが上昇したり獲得したりとしてしまったが、それについては今は後回し。


 先ずは信者達に冒険者達から剥ぎ取った衣服や装備を掻き集めさせる。

 服を着て逃げ出させない為だ。

 ここで逃してしまっては草臥れ儲けと言うやつだ。


 元々剥ぎ取る毎になるべく遠くに飛ばしておいたので、大きな抵抗をされる事も無く無事回収に成功した。


 そんな回収物の上に陣取りながら、倒れる信者達に信仰心を植え付ける。


「武器も持たない一般人を襲って恥ずかしくないのか?」


 まずは説教だ。 


「しかもただの一般人じゃない。怪我人を治療する善良な慈悲深く徳深い聖者様を襲うとは、人の風上にも置けない」

「人の弱みにつけ込んで信仰を強制する悪魔を攻撃するのは素晴らしい善行だと思うがな」


 何故か横から口を挟んできた外野の言葉に頷く冒険者共。

 やはり根っからの失礼野郎共らしい。


 もう直球で行こう。


「で、信仰するのか? それともしないのか?」

「お、俺達に選択権が、有るのか?」

「ああ、選ぶのはお前達だ。人生、選ぶ権利があるのは常にお前達だけだ」

「信仰しない!」

「俺もだ!」

「勿論俺も!」

「信仰なんてするもんか!」


 うん、分かってた。

 聖者たる俺を崇め讃えないどころかとんでもなく失礼な勘違いをし、更には暴力にまで訴えてくる奴らはそもそもまともじゃない。


 だがそれはそれで話が早くもある。


「そうか、なら仕方がない。信者となって悔い改めるのなら、赦しを与えようと思っていたのだがな」


 信仰は個人の自由だ。

 拒否するのであればそれを強制したりはしない。


 しかし、信仰を選ぶ事は慈悲でも有るのだ。

 大切な事を忘れている冒険者達に俺は告げる。


「俺の導きの下、悔い改める気が無いのであれば順当に罰するしか無いな」

「ば、罰する?」

「当たり前だろう。聖者に暴言を吐き、挙句の果てには武器まで抜いて襲いかかって来たんだからな。控え目に言っても立派な犯罪だ」

「そ、それは……」

「し、信仰を押し付けようとするから」

「ん? 布教する事が悪なのか? お前達のした事は立派な我が教えへの弾圧だ。本質的にそれは自分の信仰を押し付ける行為だ。俺がいつ教えを強制した? 押し付け強要しようとして来たのはお前達の方だ。その時点でお前達の方が余程悪だ」


 事実を突き付けると、皆一様に顔色を青ざめさせて俯いた。

 反論は出てこない。

 言い訳のしようがないからだ。


「理解したようだな。聖職者として、当然そんな罪人達を放って置く事など出来る筈も無い。ここで見逃せば、善良なる民が襲われるかも知れないからな。俺には罪人を罰する責任が有る」

「いっ、一体どんな罰を?」

「そうだな。まず善良なる民が危険を逃れる為、警戒出来るようお前達の事を周知しなければならない。だから罪を書いた札を首から下げさせて、街中を三周くらい周る」


 この時点で冒険者達の顔色が更に青褪めた。

 良い傾向だ。

 まあ、脅しでも何でもなく、入信を断るのなら本当にするがな。


「そして、広場か大通りで見せしめに磔にしておく。正確な場所は街一番の服屋の前なんかどうだ?」

「ま、待て、俺達を社会的どころか男としても殺す気か!?」

「あの漢女の店の前だけはやめてくれ!」

「辱めだけでも十分過ぎるだろ!」

「いやいや妥当だ。寧ろ殺人未遂犯の刑罰としてはまだまだ軽すぎるくらいだな。だがせめてもの慈悲で、磔台の高さは低くしてやろう。高いと怖いだろう?」

「低い方が恐えよ!」

「漢女の触りたい放題じゃないか!?」

「そうだ。例え罪人でも、善良なる民の中にはお前達を憐れに思って差し入れをしたがる者もいるかも知れない。『ご自由にどうぞ』と立て札でも一緒に立てておこう」

「悪意しかねぇじゃねぇか!」


 騒ぎ立てる罪人達を無視して俺は準備に取り掛かる。


「おい信者達、磔に必要な道具を買い集めてこい。金は好きなだけ使え」


 そう言って罪人達から没収した衣服の中から取り出した財布を幾つか信者達に投げ渡す。


「俺達に加担しろと?」

「別に嫌なら買いに行かなくていい。磔台がちゃんと使えるか実践して確かめる人材に回っても良いぞ?」

「よしお前ら、使えそうな物を片っ端から買い占めに行くぞ!」

「「「おおー!!」」」


 現金な信者達は逃げる様に買い出しに出かける。


 これで全ての準備は整った。

 罪人達がどちらを選んでも、俺の目的は達成できる。


 信仰を選べば俺の聖職者としての目的が達成でき、このまま罰を遂行すれば散々人を悪魔のように扱っていた事を反省させる事ができる。

 これは完璧と言っても良いだろう。


 信者達はアイテムボックスの類を持っていないようで、購入したものが大きいとすぐにこちらに持って来た。

 近くで買えるものも多いようで一分と開けずに次から次へと使えそうな物を持ってくる。


 俺はそれを見せつけるように組み立てて行く。

 流石に戦士達が大半を占める城塞都市でも磔台自体は売っていないらしく、木材などパーツパーツしか無いが、この場合は都合が良い。


 こうしてゆっくりと磔台が組み上がってゆく所を見せつける事ができる。


「う〜ん、十字にしたら善良なる一般市民のバニーちゃんがちゃんと後ろのお世話も出来るように、しっかり開けておかないとな」

「ヒィッ、悪魔、悪魔だ!」

「何言ってんだ。きっとどんな便秘も解消してくれる特殊な治療をしてくれるぞ。うん、磔台の形状は四角枠にしよう」

「やめろ、やめてくれー!」


 そうこう言っている内に、試作品が一つ完成した。

 まず一人拘束して試してみよう。


「さて、誰から行こうか?」

「分かった、分かったからやめてくれ! 入信する! 露出教徒になるから!」


 こうしてまず一人、信者を獲得する事に成功した。

 一人が言い出すと堰を切ったように入信を申し出始めた。


「お、俺も、露出教の方がマシだ!」

「俺も露出教徒にしてくれ!」

「頼む、頼むから磔だけはやめてくれ!」


 次々と上がる声。

 それに対して俺は慈悲深く入信を受け入れ恩赦を与える。


「そこまで言うのなら入信を認めよう。これから俺の下で善行を積み償うが良い」


 認めると入信希望者達の身体が輝いた。

 服を元から着ていなくとも、特殊効果は有るらしい。


「さて、新たな信者達よ。早速善行を積んでもらうとしよう。お前達以外の罪人を裁く磔台の作製を手伝ってくれ」

「「はい!」」


 うん、素直で何より。

 そうだ、今度はシンプルに俺の彼女作りに協力してもらおう。


 恩赦を実際に与え罰への本気度を見せたからか、残りの罪人たちも競うように入信を請い始めた。


「俺も露出教徒に!」

「俺もそれでお願いします!」

「入信しますから、恩赦を下さい!」


 こうして俺は、失礼な冒険者全員を信者にする事に成功した。

 これを先駆けに、今度は今ここに居る冒険者だけでなく、全冒険者、特に女性陣への布教へ力を入れていこう。


 この調子でこの街の全員、行く行くはこの世界中の人々を露出教徒にしてしまえば俺が露出教の聖職者として変な偏見を持たれる事も無くなる筈。

 更には露出教を広めた大聖者としてチヤホヤされる事、間違いなしだ。


 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 スキル〈脅迫〉〈威圧〉のレベルが5から7に上昇しました。

 スキル〈聖職者〉のレベルが2から5に上昇しました。

 二つ名【追剥聖者】を獲得しました》


 …………。

 まあ、聖職者スキルがレベルアップしたから良しとしよう。



 必要の無くなった磔台アイテムはいつか使う日が来るかも知れないからな全てアイテムボックスに収納。

 没収した衣服はどうせもう入信が済んで着れなくなったから持ち主に全て返却した。

 野郎の衣服を集める趣味は俺に欠片も存在しない。


 後やる事と言えば、俺のスターな衣装も無事に買えたことだし、もう宿屋に帰る事ぐらいしかない。


 しかしただ帰るだけでは味気ないので盛大に信者を引き連れて凱旋する事にした。

 女神様への聖職者力のアピールと住人へのアピール件布教だ。


 磔台への加工がまだな材料から信者達に俺用の神輿を造らせる。


「俺のスターな服に合うような仕上がりにしてくれ。純白な感じで。足りない材料はこれで買って来い」


 財布も入信特典で返してしまったので自分の財布を渡す。

 デカイ出費でも俺のアピールの為に一銭もケチらず妥協を許さない。


 しかし如何せん、冒険者だから仕上がりは祭りで見るような物に遠く及ばない。金があっても技術力が不足している。


 仕方がない。

 命令するだけでなく、俺も本腰を入れて組み立てに参加しよう。


「ほら、こんな風に薔薇の彫刻を彫れ。そこの角度はこうだ。色調はこう。塗りやすい様に釘は打つな。こうしてこうやって組み立てろ」


 次々と支持を出して実践して見せ、教えながら神輿を構築していく。


 モテ道具造りに慣れている俺からすればこの程度、朝飯前である。

 新種の特殊な爬虫類っぽい生き物を確保して注目を浴びようとした時なんか、一人でビーム砲付きの宇宙船を造ったからな。

 まあ、『カトウセイブツホシヲアケワタセ』とか見つけた直後から襲いかかってきて、結局確保は出来なかったのだが。力加減を間違えて空の藻屑にしてしまった。数も百万匹くらいいたのに、あれは惜しい事をしたものだ。


 そんなこんなで久し振りに工作に勤しんでいると、見事な薔薇の彫刻が施された神輿が完成した。

 色は求めた通りの純白。市販品には俺の求める色も質感も無かったので、色々と調合してオリジナルの塗料を作製した。


 《熟練度が条件を満たしました。

 ステータスを更新します。

 スキル〈工作〉〈建築〉〈彫刻〉〈調合〉〈指揮〉〈指導〉〈教育〉を獲得しました。

 スキル〈工作〉〈建築〉〈彫刻〉〈調合〉〈指揮〉〈指導〉〈教育〉のレベルが1から5に上昇しました》


 おっ、偶にはまともなステータス更新も有るらしい。


「……お前、かなり多芸なんだな」

「所詮神輿だからな。こんなのまだまだだ」


 珍しく信者1号ベルクからのウケも良い。

 野郎からのウケなどどうでも良いが。


 後は凱旋するのみだ。





 《現時点でのステータス》


 名前:イタル=ゴトウ

 称号:【勇者】【嫉妬の王】【全裸の勇者】【セントニコラの使徒】【セントニコラの代行者】【露出教名誉司教】【邪龍の天空砦の攻略者】【恋人募集中のダンジョンマスター】【→追剥聖者】

 職業ジョブ:〈異世界勇者Lv66〉〈勇者Lv0〉〈〉〈〉〈〉

 種族:異世界人(ダンジョンマスター)

 年齢:16

 能力値アビリティ:

 生命力 90000000/90000000

 魔力 900000/900000

 体力 900000/900000

 →神力 10/10

 力 90000

 頑丈 900000

 俊敏 90000

 器用 90000

 知力 90000

 精神力 90000

 運 90000

 スキルポイント:310

 勇者武装:未登録

 討伐ポイント:7900

 魔法:〈全属性魔法Lv1〉〈→神属性魔法Lv1〉

 加護:〈セントニコラの加護〉〈マリアンネの祝福〉

 固有スキル:〈リア充爆発Lv10〉〈不屈Lv3→7〉〈勇者直感Lv1〉〈→超再生Lv3〉〈→再臨Lv1〉

 大罪スキル:〈嫉妬Lv10〉

 スキル:〈鑑定Lv3〉〈アイテムボックスLv3〉〈高速走行Lv2〉〈再生Lv3→覚醒&固有スキル化〉〈全裸強化Lv5〉〈聖職者Lv2→5〉〈脅迫Lv1→7〉〈→格闘術Lv5〉〈→追剥術Lv5〉〈→直感Lv5〉〈→威圧Lv7〉〈→工作Lv5〉〈→建築Lv5〉〈→彫刻Lv5〉〈→調合Lv5〉〈→指揮Lv5〉〈→指導Lv5〉〈→教育Lv5〉

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