第3話 12月31日

 午後23時55分。不健康大学生の俺は休みの日なので、まだまだ寝ない。ひたすらYouTubeを見て、深夜に寝るのである。明日は正月なので、バイトもない。午後から、爺ちゃん婆ちゃんの家に顔出すぐらいはするが、その程度だ。

[今、暇?]

チャットアプリの通知、上杉からだ。

[おう、暇だぞ。どうした?]

[暇だったら、電話しない?]

[いいぞ。]

 上杉が俺にいったい何の用だろうか?

♪♪♪

「もしもし」

「もしもし、こんばんは。天知くん。」

「こんばんは。急にどうしたんだ?」

「いや、別に何か用があるってわけじゃないんだけど...」

「ふーん。」

「...嫌だった?」

「全然。こういう、急に友達から夜にかかってくる電話ってのも嫌いじゃないし。」

「そっか。良かった。3、2、1。明けましておめでとう!」

「あ、1月1日になったな。明けましておめでとう。もしかして、そのために電話してきた?」

「実は、そうなんだ。今年もよろしくね。」

「おう、よろしく。」

「それじゃあ、深夜にごめんね。また、連絡する。バイバイ。」

「おう、バイバイ。」


 新年のあいさつをするという用事だけだったようだ。

 上杉は、本気で俺と仲良くしたいのかもしれない。そういえば、上杉の周りって、いつも女子ばっかりで、男子は「憧れ」って感じの雰囲気が強くて、対等って感じがしない気がする。同性の対等な友達が欲しいのかもしれない。

 あいつの身には、なかなかの不幸が起きているし、求められるうちは仲良くしてやりたいなぁ。周囲の眼は怖いけど。そういえば、あいつ、一緒の学校って気づいているのか?...まぁ、どっちでもいいか。

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