クリスマスの逸話

あいくま

第1話

サンタさんは良い子にプレゼントをあげる。そんな話を聞いたことはないだろうか。じゃあ、悪い子は?どうなってしまうの……?


「メリークリスマース!さてさて、今年も良い子にプレゼントをあげる日がやってきたねぇ」

そう言って、おじさんが立ち上がる。何せ今日は一年に1度しかないクリスマス。トナカイにソリを引かせ、たくさんの家を回る。おじさんはよっこらしょと立ち上がり、準備を始める。赤鼻つけて、帽子かぶって、赤いコートに黒いベルト。最後にプレゼントの入った巨大な白い袋。あっという間にサンタクロースに大変身。庭ではしゃいでるトナカイを連れてさぁ、出発だ。


夜になり、静かになった町。外を歩く人はほとんど居ない。サンタは飛び回りながら一軒一軒にプレゼントを配っていく。寝ている子供のそばにポンと、時には大きすぎて置く場所に困ったりとか。そうこうしてるうちに袋の中身もあと少しだ。そんな時、奇妙な家を見つけた。


あれ?家のあかりがついてるぞぉ。どうしてだ?


その頃家では、男の子が目をぱっちりと開けて座っていた。

「サンタクロースなんかいないんだ!絶対ぼくが寝た後にパパかママがプレゼントを置きに来てるに決まってる。今日はずっと起きててやるぞぉ!」


夜遅くまで起きているなんて、わぁるい子だァ。おしおきが必要だね。だって、良い子はもう、寝る時間だよ?


光が漏れる男の子の部屋に飛んでいき、魔法の力で鍵を開ける。


「メリークリスマァス!サンタがプレゼントを持ってやってきたよォ。良い子にプレ……あれぇ、なんでまだ、起きてるのかなぁ。良い子はもう、寝てるはずなのに」


男の子は初めて見るサンタクロースに驚愕し、恐れおののいていた。

「お、お前なんだよ!ぜったい偽物だろ!」


「そんなこと言っちゃうんだァ。尚更悪い子だねぇ。ねぇ君、良い子はプレゼントを貰えるけど、悪い子はどうなっちゃうと思う?」


「し、しらないよ!」


「ふーん。最後まで、そんな感じなんだァ。じゃあもう正解言っちゃうね。正解はね……消えちゃうんだよォ!」


そう言うと、サンタクロースはコートをバッと脱いだ。あらわになったのは「SATAN」とベッタリ書かれた真っ黒なコートだった。

男の子は逃げる間もなく捕まり、白い袋に入れられた。

そして、サタンクロースは懐からでっかい袋を出した。そしておもむろに手を突っ込み、かき混ぜるようにして何かを探している。しばらくすると、ドロっとした粘土のようなものを引っ張り出してきた。それはそのままベチャッと落ちた。


これがどうなったと思う。

なんということか、異様な物体が姿を変え、男の子そっくりになった。


「良い子は早く寝るんだ。いいね?」


「はいわかりました」


男の子2とも呼べる物体はそのままベットへ向かっていき、目をつぶった。


「さぁ、プレゼントの残りを届けに行こう」


サンタはコートを着直し、すぐに飛び去っていった。


良い子にはプレゼントを。

悪い子にはおしおきを。

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クリスマスの逸話 あいくま @yuuki_zekken

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