第53話 幼馴染の手紙(2)
ミロアが目覚めてから十七日目、ミロアのもとにオルフェからの手紙が届いた。内容はガンマの周りと学園の様子が記されていた。ミロアと侍女のエイルを驚かせるには十分すぎる内容がそこにあった。
「な、何よこれ、どういうこと!?」
「お嬢様、どうされました!?」
「お父様が襲撃された!? あ、でも、返り討ちにしてそのまま捕まえて王宮に突き出したって……?」
「ええっ!? なんですかそれ!?」
まず最初に目に入ったのは、ガンマの側近だったグロン・ギンベスが父バーグを襲撃しようとして返り討ちにされて失敗。バーグに捕まったグロンは王宮に突き出されて、後は処遇を待つのみという話だ。
「――ということもあって、グロン・ギンベスは殿下の側近を辞めさせられると同時に学園を退学、更にその父君である騎士団長からも勘当を言い渡されたみたいね」
「え、ええと……殿下の側近が旦那様を襲撃? 意味が分からないんですけど?」
「私も意味不明だと思うわ。私と殿下の婚約を白紙にするのを防ぐためにお父様を襲撃ですって。オルフェなりに分かりやすく伝えようとしたみたいだけど、オルフェも意味が分からなかったでしょうね。オルフェは学生だもの、王宮の情報には疎いから仕方ないわね」
実際、ミロアの思っていた通りだった。オルフェが知ったのは学園の噂と教師の説明があったからだ。そして、王宮にいたオルフェの父親からも大体のことを聞かされていたようだ。そういう意味ではオルフェは学園の中では情報が早い方なのかもしれない。
(グロン・ギンベス……殿下の側近がお父様を襲撃……私の悪い方の予想のほうが当たってしまったわね。あの時、万全を期して備えるように言って正解だったわ。……ただ、お父様を襲撃した相手が殿下の側近だったのが気になるわね。手紙では婚約破棄を妨害するために動いたらしいとあるけど、流石にそんな理由だけでお父様を襲撃するとは考えにくい。殿下の入れ知恵かしら? それとも第三者から? 学生のオルフェだと耳に入る情報に限りがあるわ。お父様に聞くしかないか……)
「お嬢様を蔑ろにしたガンマ殿下の側近が旦那様を……怖い話ですわね」
「ええ。この件に関してガンマ殿下は何も関与していないと言い張っているみたいね」
教師の説明の後でガンマはだいぶ遅れて学園に登校した。その際、周りからかなり悪い意味で注目されたり邪推して関与を疑われるような質問をされ続けて辟易しているらしい。ガンマの性格を考えれば当然だろう。
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