第12話 運命

朝ごはんを食べたあと、私は悠音くんと一緒に待ち合わせのカフェへと手を繋いで向かった。


カフェに着くとそにはあの時合コンにいたメンバー全員がいた


「あれ、冬音ちゃん?」


「何?悠音とは結局付き合わなかったんだ?」


「そうだよねー!あんな陰キャみたいな男無理でしょー!」


「でも、その人めっちゃイケメンだね!私狙っちゃおうかなーっ」


悠音くんだとは思わず、みんな各々に言いたい放題してる。


「言いたいことはそれだけ?」


「は?」


「私の彼氏は悠音だけど?」


「えー?何言ってるの?あんたもあの陰キャくんが嫌でその人と付き合ってるんでしょ?」


「何言ってるの?彼は悠音だよ?」


私はそう言って悠音くんの腕に抱きついた。

すると、それを見た全員が驚いていた。


「嘘っ」


「こんなにカッコよかったの!?」


「ねぇ、悠音くん!冬音なんてやめて…私と付き合おうよぉ」


そう言ってみんな悠音くんに猫なで声で言い寄って来た。

悠音くんはずっと黙ったままでされるがままになっていた。


「ねぇ、悠音くんってばぁ!」


「よかったら、私が悠音くんを男にしてあげるよ?」


そんなことを言い出したので私は胸が苦しくなった。


「ちょ…やめっ」


「触らないでくれる?」


「え?」


「悠音くん?」


「ずっと言いたい放題してて、俺が変わってイケメンだってわかったらそうやって言い寄ってくるとか不愉快。」


「なっ」


「俺の彼女は冬音だけだから。」


「冬音って色んな男と遊んでるんだよ!?そんな女のどこがいいの!?」


「冬音はそんな子じゃないよ。この3日間、一緒にいてそれはわかってる。」


「悠音…」


「俺、君たちみたいな子苦手なんだよね。」


「そんな…」


「あと、自分の彼女を止められないのもどうかと思う。だからもう俺たちに関わらないで。」


「なんでそんな女なのよ」


納得出来てないのか私を睨んできた。


「納得出来てないの?じゃあ、これでどう?」


悠音くんはそう言うと私の顎を掴んでみんなの前でキスをしてきた。


「ちょ…悠音っ」


「ってことだから。合コン誘ってくれてありがと。さよーなら」


悠音くんはそう言って私の手を引いてカフェを出た。


「あの、悠音くん。なんかごめん」


「なんで冬音が謝るの?」


「なんとなく…」


「冬音は悪くないよ。それにみんなの前でキスなんかしてごめんねっ。」


「大丈夫!」


「あのね、冬音。」


「ん?」


「俺ね、いつかは冬音と結婚したいって思ってる。」


「え…」


「この3日間一緒に居て、これからもずっと一緒がいいって思ったんだ。お互いまだ分からないこととかあるだろうから、今直ぐにとは言わないよ。」


「あのね…実は私もそれは考えていて。結婚するなら悠音君とがいいなって。」


「すごく嬉しい。もっと男らしくなって冬音に相応しい男になるからそれまで、待っててね?」


「そうだね!今の悠音じゃ釣り合わないかもねっ」


「やっぱりそうだよね…」


「まぁ、でも。今の私も悠音には釣り合わない女だから、いっぱい頑張って悠音に釣り合う女になるねっ」


「それってお互いもう釣り合ってるんじゃ?」


「まーだ!私はもっと大人っぽくて綺麗で可愛い女になるの!」


「冬音は十分いい女だよ。」


悠音くんはそう言ってくれた。でも、私は綺麗とか以前に、もっと素直になれるようになりたいと思う。


「よし、じゃあ冬音の使うもの買いに行こっか?」


「え?」


「いつお泊まりしてもいいようにね!」


「うん!」


私たちは手を繋いでこれからもずっと一緒に歩んでいくんだと思ったらこれから先が楽しみになった。


お試しから始まったけど、あの時の出会いは運命だったんだろうなと思うのだった。




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お試しから始まった恋 詩羽 @yuli_h

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