前日譚1 まじこれキツい

人物調査


東雲 夏樹 三人称寸評


聖川 悪友後好き。話しやすいし初めてのロック趣味仲間。目付き怖い。

瀬戸 親友。頼りになるし面白い。初めての料理趣味仲間。

江藤 友人。大人な雰囲気に憧れ。ある意味瀬戸より信頼している。


聖川 周 三人称寸評


東雲 好き後悪友。一目惚れ。クールな皮を被った天然鈍感少女。

瀬戸 幼馴染み。幼馴染みだが避けられてるようで嫌われてる気がする。

江藤 友人。クールで長い黒髪が綺麗。出来ればもっと仲良くしたい。


瀬戸 友士 三人称寸評


東雲 親友。主人公してる朴念仁イケメン。料理趣味仲間。

聖川 幼馴染み兼好き後微妙。幼いころから好きだったが素直になれず避けている。

江藤 好き後恋人。入学式の人混みで貧血を起こしたとき助けられて好きに。


江藤 詩穂 三人称寸評


東雲 友人。完璧美少女。誰にでも優しいので少し不気味。

聖川 友人後微妙。女子でも憧れるスタイル。巨乳を揉んでみたい。

瀬戸 好き後恋人。入学式で倒れそうになった所を救助。ありがとうの笑顔でK.Oされた。




◇◇◇



 江藤から告白の手伝いを相談され、出来る範囲でと応え報告書諸々を終わらせ教室を出た。


「信頼してるねぇ·····いい人止まりってやつか」


 信頼されていることを嬉しく思うが少し残念な気もする。


「夏樹!」


 残念がっていたら声を掛けられた。そして俺を名前で呼ぶのはただ一人。


「友士か。なんだ?」


「今帰りかい?」


「帰りだな」


 友士は少し間を空けて言った。


「少しいいか?」


 俺は友士と下駄箱に向かいながら話していた。


「部活はどうした?」


「これから。それより忘れない内に言っておきたいことがあってね」


「え、俺なんかやらかした?」


「いや。実は·····江藤さんが好きなんだ!」


 えー。


「で?」


「告白したい!」


「で?」


「手を貸してくれ!」


「なあ、頼む。手を·····知恵を貸してくれ!」


 友士は深く頭を下げた。あのクソイケメン主人公の瀬戸 友士が俺に頭を下げたのだ。なんだろう。気分良い·····


「具体的にはどういうことなんだ?」


「どう告白すればいいだろうか?」


「お前はアレだ。小細工は要らない。センスで告れ。お前はそれが許されてる」


 主人公な友士ならそれが出来るわけで。それが最高確率だ。


「手を貸してくれる気あるか?」


「お前なら大丈夫だろ」


「そうか·····」


 というか、もう決まったな。どっちかが告ればゲームセットだ。


「あ。東雲ー·····と友士」


「ん?聖川か。帰ったんじゃないのか?」


 可愛い。聖川可愛い。なんなんだろう。恋は盲目というが、むしろ俺が手を貸してほしいくらいだ。


「いぇーい」


 そして謎のハイタッチ。


「一緒帰ろうぜぇ·····傘持ってないんだよ·····」


 こいつ。俺が置き傘と折り畳み傘常備してるの知ってたな。


「じゃ、俺は部活行くよ。また明日な!」


 友士は手を振って体育館へ駆けていった。


「爽やかな奴」


「ホントにね」


「雨降ってんのか?」


「ゲリラ豪雨が」


 下駄箱の靴と上履きを入れ替え履き替える。昇降口を見ると本当に大雨が降っていた。雨に気付かないほどの衝撃が俺を襲っていたわけだ。


「じゃ、傘借りるね」


 聖川は傘置き場から東雲と書いてある傘を取り出して外へ出た。俺もバッグから折り畳み傘を取り出し外へ。


「これ、傘差しても濡れねぇかな·····」


 豪雨も豪雨。打ち付ける雨音はまるで·····


「バッチバチじゃん」


 何も比喩が浮かばなかった。語感のセンスがまるでない。


「帰ろ」


 下校中。俺と聖川は2人で並んで歩いていた。そんな状況を楽しみつつも、話題は瀬戸 友士のものに。


「でも、友士が名前で呼ぶくらい仲の良い友達は東雲が初めてじゃない?」


「そうなのか?」


「昔から誰とでも仲良く出来る奴だったけど、どっか線引きしてるフシはあった」


「ふーん。聖川は居ないのか?そういう友達」


「んー。強いて言えば東雲。悪友って感じだけど」


 キター!!これはワンチャンあるのでは?あるんじゃなかろうか!?


「ああそうだ。友士のことで東雲に頼みたいことがあったんだ」


 ほうほう。聖川が俺に頼みとは。これはマジでキテるんじゃないか!?ええ!?なんか今日頼まれてばっかだけど。


「友士のこと好きなんだ·····」


 ·····え?


「告白の手伝いしてくれない?具体的には林間学校辺りで」


 OH·····全然キテなかった。胸の奥がズクズクする。


「えーと·····まあ、出来る範囲でなら·····」


「サンクス。さすが東雲。じゃ、私こっちだから」


 バイバイと言ってT字路を曲がって行く聖川を見送る。


「·····なんかフられたんだけど·····失恋·····?」


 帰路に着いて歩を進める。


「フーッ·····」


 溜まりに溜まったクソでか溜め息を吐く。


「なにこれ·····これまじキツい·····」


 そして東雲 夏樹の恋は終わった。

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