第7話 無力な自分

「あ、、、ぁの...っ」

自覚してしまうともうだめだった。今まで緊張とほか色々あって保たれていたものが全て崩れ落ち ていくような気がした。


「ごめん、なさい...ちょっと、あたまいたいかも...」


「優衣菜様!?大丈夫ですか!? 今すぐ部屋にお運びしますね」

執事に抱え上げられたところで優衣菜の意識は途絶えた。



−バンッ−



「優衣菜は大丈夫か!?」

執事が優衣菜をベッドに寝かせたと同時にジェイソンが慌てた様子で部屋に入ってきた。


「ジェイソン様。たった今落ち着かれたところです。大きな声は控えてください。」

ジェイソンの叫ぶような声を執事が嗜めた。


「...すまない」

体調がすぐれないと聞いて心配になったのだ。 そう、ジェイソンは続けた。


「とにかく、優衣菜様は今弱っているので、大声やストレスをかけるようなことはやめてくださいね。」

執事は、きっとジェイソンは守れないだろうと思いながらも、もう一度注意をした。


「治癒魔法をかければ良いのではないか?そうしたら優衣菜もげんきになるだろう?」

やっぱり。ジェイソン様は何もわかっていない。


「ジェイソン様。全員が全員治癒魔法が使えるわけではないのです。私は、貴方様になにかあっ た時のために魔力を貯めておかなければならないのです。ただでさえ一昨日に回復魔法を使っ たのですから、これ以上は無理です。わかってください。」


「そうか...」

やっとわかってくださったようだ。執事としてはもちろん助けてあげたいのだが、なんせ治癒魔法 を使う対象であるジェイソン様がすぐに傷を作ってくるのが悪いのだ。

悔しいが、今は優衣菜様の自己治癒力に任せるしかない。魔力は無限ではないのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界転生して最初に会った人に愛されてしまった…!! 姫里 澪音 ひめさと みおん @mion_himesato

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ