Cafe Mistletoe
第28話
賑やかに人の行き交う表参道からしばらく歩き裏道を通りながら、静かに漂うコーヒーの香りを辿り路地を進むと、ひっそりとその店はある。
『Cafe Mistletoe』
入り口の横に掛かっている、店のコーヒーが長年染みこんだかのような深い色合いを醸しだしているその古い木の看板には「closed」と書かれていた。
カラン・・・・・・。
少し古びた木の扉に美しい色ガラス細工の飾られたドアを開ければ、一気にこうばしいコーヒーの香りが身体を優しく包み込む。
既に外までその香しい香りはしっかりと届いていたが、中で直接浴びれば不思議とその香りだけではなくどんな味を楽しめるのか多くの人がワクワクしてしまうだろう。
「いらっしゃいませ」
サイフォンや食器が並ぶカウンターから、老紳士が穏やかな笑みを浮かべ声をかけた。
まさに絵に描いたような、古いカフェと老マスター。
何かここで自分の知らない世界の物語が始まりそうな雰囲気さえ感じた。
「どうぞ、奥へ」
男はマスターに笑顔でそう促されて店の奥にあるドアを開けるとそこは割と広めの個室になっていて、既に数名の男が大きな一枚板のテーブルを囲み、座っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます