お前で妥協したくない!~バカップルだらけの浮かれたクラスで浮いてる2人~

薪木燻(たきぎいぶる)

プロローグ

 高2なんて浮かれたバカばっかりだ。

 僕のクラスがその代表と言ってもいい。

 なにせ新学期が始まり、5月が終わるまでのわずか2ヶ月の間に、20組ものカップルができている。

 しかも全てのカップルがクラスメイト同士。

 クラスメイトは男子が21名、女子が21名の計42名。

 ――つまり男子1人、女子1人を除いて全員がカップルになっているのだ。

 まったく浮かれるのにも限度がある。


 あろうことか担任の先生もカップルを公認しているので、登校してから授業中はもちろん、放課後や帰り道まで、イチャイチャイチャイチャ、いちゃいちゃいちゃいちゃ、クラス中にあま~い空気がプンプン漂っている。

 僕ともう1人の女子を除いて……


「ちっ、全員別れればいいのに」

 授業中、隣の席の女子から呪詛のような、つぶやく声が聞こえてきた。

「……その意見だけはお前に賛成だ」

 僕も窓の外のどんよりした空を眺めながら、虚ろにつぶやいた。

「私はアンタとは絶対にくっつかないから」

「それも同意見だ」

 隣の女子はムスッとした表情を浮かべてから、僕の反対側を向いて机に伏せた。


 傍から見たら僕らは、外堀が埋められている状況なのかもしれない。

 クラスメイトからは毎日死ぬほど「くっつけ」と言われる。

 でも絶対にカップルになんてならない!

 幼稚園からの腐れ縁というだけで、お前で妥協するなんて絶対にイヤだ!


 ――バカップル20組の、うざくてダルい、上から目線の強制カップリングは、終わりが全く見えない。

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