クリエの反省。
それをきいたクリエも、普段はまったく霊的なものを信じないもののその時ばかりは真剣に話を聞いていた。
「それで、その悪霊って、何なの?どうして私をのっとって……あなたは危なくないの?」
「それは間違いなく《オリエラ》の悪霊化した面でしょう」
クリエはこぶしをぎゅっとにぎった。人間がアールを攻撃したわけでなくとも、悪意を持ち攻撃した存在がそこにいる。それだけでそいつをどうかしてやりたいという気持ちがわく。それを悟られないように唇をかみしめた。
「悪霊は、なにかしらの現世でやりのこした思いが強すぎる場合に霊が強すぎる想いに自我をほとんど失い、目的すらも忘却するほどに執着が強くなった姿です、つまり、攻撃性の塊」
「私にそれがとりついたってことは、私は今度みたいに何か悪い事をしてしまうんじゃ?」
「大丈夫です……これをもっていてください」
クオンは立ち上がり、机の引き出しからある木札をとりだし、それをクリエにわたした。
「これは?」
「お守りです、妖精族の力をため、悪霊に自我をとりもどさせ、執着を弱らせる力があります、これでクリエさんをいやがり、乗っ取ることはできないでしょう」
「あなたは危険では?それに私の周囲の人間にとりついたら」
「その時はその時です、私がなんとかしますから、できるだけ私の言う事を聞いて下さい、完全に払うことは難しいですが、私が霊と対話してなんとかします」
クリエは唐突に、クオンの両肩をつかんでうつむき表情を隠した。
「ごめんなさい、まさかこんなことが本当に起こるなんておもっていなくて、何か手伝えることがいったらなんでもいってね」
そしてその日はクリエを部屋にかえし、クオンは再びオリエラのことをしらべはじめた。ソネーユがその傍らで何度も言う。
「もう、これ以上つかれたらあなたどうなるか、私がいなかったら危なかったのよ」
「うん……わかった、すぐねるから、でも何か、何か見落としている気がするの……あの悪霊、本当に私を襲おうとしたのかしら」
「当り前じゃない!!敵意むきだしだったわよ」
「そうじゃなくて“最初からそうだったのか”ってことよ、あの悪霊は、ミラでオリエラを求めているのは間違いない、私は対話をしなければいけない、あれほどまでに“何か”を憎むようになったミラと」
調べものをしていたらいつのまにか、本をひらいたまま机につっぷしていたようで、知らず知らずに朝がきた。
「ソネーユ……」
あたりを見渡すとソネーユが自分の直ぐ傍、机の上で同じように自分に寄りかかって寝ていた。
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