判断
ギリギリとしめつけられるソネーユ。命の危機を感じるも、クオンにめをむける。
(クオン……あなたといて、たのしかった……)
ふと意識を失う直前、クオンが机に突っ伏した顔をあげ、意識を現実に戻しつつあるのがわかった。
「クオン!!」
ふと、悪霊がもっている巨大なハサミにめをやる。悪霊もソネーユの視線にきづいたようだ。瞬間、ソネーユは左手に力をいれ、念じた。
“弓よ……”
するとどこからか木でできた弓が生み出され、今度は右手に力をこめる。“魂の矢”よ。すると今度は右手に矢が生成された。その矢は光輝き、そのかわりに、ソネーユは息をきらし、体中が付付と痛むのを感じた。これはソネーユの魂をねり、武器として権限させたもの。たしかに霊体を攻撃することはできるが、あまり浪費すれば、魂そのものが存在の危機に陥る。だがソネーユには確信があった。少しの変化で、クオンはめをさます。長年つれそっていたために、彼女のしぐさや雰囲気から、彼女の状態がどんなものかであるかは、ある程度推測できた。彼女は目を覚まそうとしている。ただ無意識に疲れが邪魔をして、目を覚ませないだけなのだ。
「クオン……」
悪霊のソネーユの首を絞める力が徐々に弱まる。その時、渾身の力をこめ弓を引いて力をため、悪霊に向かって放った。
「グウォ!!?」
悪霊は、すぐさまよけた。クリエにはぶつかったが、悪霊が一瞬その体から離れた。
(しめた!!)
放たれた矢は初めから悪霊をねらったのではなかった。意識されなくなりよわまったハサミをもつ右手をねらっていた。悪霊はそこまで意識していなかったらしく、矢は右手に命中する。
「ウォオン」
さすがにエルフの矢はそれなりに効果があったらしく、ハサミは悪霊の霊体の束縛をのがれ、地面に落下した。その巨大さにつりあう、巨大な音をならして。
“ゴトリ!!”
「うーん……何事……」
その音で、ようやくクオンが目を覚ましたのだった。
「はっ!!」
ふりかえり、すぐにクリエの異常事態にきづいた。クリエも悪霊が一度体をでたことで、意識をとりもどし、地面にへたりこんだ。
「わ、私なんてことを、いま私……あなたを襲おうとしたのね?私、本当に……あれは本当に悪霊だったの?」
「……」
意識を取り戻したクリエに、クオンは色々と説明をすることになった。悪霊はクリエにとりついたままだが、驚いた拍子にそのシンクロがとけ、力がよわまり、しばらくはクリエを乗っ取ることはないようだった。
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