シンクロ

 その後、二日ほどだってだった。彼女、オリエラがそのニュースをめにしたのは、そのニュース映像に移る場所、そして犯行時刻、怪我を負った被害者の情報、すべてがあの夢に酷似していた。幸い被害者は命に別状はないようだったが、オリエラは、夢とはいえなぜか謎の罪悪感を感じていた。

「私は……関係ないわよね、私は“あの怪物”を遠目に見ていただけなのだから」

 

 それから、クオンの店にオリエラはよく姿をあらわしたが、どこか元気がなさそうな様子で、クオンは心配していた。ソネーユがいうには“この間の喧嘩で気まずくなっているだけだ”というが。クオンは彼女の態度の奥に何かがあるような気がしていた。それに、彼女のいう友人の事も気になっていた。“友人の能力について調べてほしい”といって訪ねてきて、霊媒師を攻撃するもの、それが人なのか、悪霊なのかはわからないが、アールさんを襲ったモノについても似たような状況があった。オリエラが直接関係があるとは思わないが、もしかしたら、オリエラの友人に関係する誰かが事件を引き起こしているのかもしれないと思うのだ。だが直接、本人にそのことを伝えることも確認することもできないまま月日が流れた。


 数か月もたつとオリエラはすでにクオンの事を完全に信用しているようだった。噂に聞く“あらし”のような事もしないし、友人の事についても急いでいる印象はなかった。ただ、あまりにものんびりとした時間が流れたので、むしろクオンの方が真相を知りたがっているような感じさえあった。そこでそんな話を切り出すと、オリエラは覚悟したように、クスリとわらってこういった。

「そうね……振り返らないわけにはいかないわよね」

 そうして、彼女はある話を始め、そしてその話の最後にはある場所に案内するといいだしたのだった。

「私の友人について……話してないことがあるの」

「……」

 クオンはその話を静かにきいていた。

「彼女は私を許してくれるかしら……いや、そうじゃない、許してくれるなら、あんな悪夢を見せなかったし……私を、絞め殺す夢なんて……」

「!?」

「きっと彼女は怒っているのよ、私は奇跡を目撃した……彼女のおかげで死んだ母親に会えた……それなのに、そのことを隠していたから、最後の最後まで……」

 オリエラがいうには、彼女と親友、名前を“ミラ”というそうだったが、その子とが仲良くなる2年前にオリエラの母は大病をわずらいすでに他界していたそうだ。 

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