心配
「何が?い、いえ……私はそんな事ないと思うけど」
もごもごとするクリエ、いつもはきはきとして、気が強い彼女からは想像できない光景だった。
「うーん、これは、きっとアールっていう人とクリエには、知られたくない秘密がああるのかもしれないわね」
ソネーユがそういいかけた瞬間。クオンは“連想”に入る感覚におちいった。目の前のクリエの映像が遠くなり、やがて、パーマをかけた3等身の、クリエによくにたデフォルメされた妖精が目の前にあらわれた。
「初めまして、クリエの妖精さん、私は、クオンの妖精よ」
クオンもまたデフォルメされた妖精になり、クリエの前にあらわれた。その瞬間、彼女が力を使うと時が一瞬とまり、というより彼女の意識が加速したように瞬間的に、他者の“妖精体(※クオンが名付けた)”と会話ができる。
「彼女をまもらなきゃ」
「誰を?」
「アールよ、彼女は特別なの」
「何で特別?」
「私は、あの子に借りがあるから……あの子を守らなくてはいけない」
「どうして?」
そして妖精クリエは、小さな思い出を話しはじめた。
「彼女は、社会のカーストの外にいる存在だから、かつて私たちは幼馴染だった、といっても、まだ成長しきってない中学生ごろまではそこそこなかのいい幼馴染だったワ、高校が一緒になってから、私は少し立場が上の、それも悪い友達とも仲良くなって……彼女をいじめるようになった、なにせ私はそのころから太っちょで見栄えもよくなくて、ギリギリで彼女たちの仲間を名乗っていた、私はその頃、過去を切り捨てる非情さや冷徹ささえも、強い立場の中で生き延びていくためには必要なことだと考えていた、まだ子供だった、いいえ、いいわけね……」
クオンの妖精体が、クリエの妖精にちかづいていき、こくりこくり、と相槌をうった。
「異変がおきたのは、卒業間近になってからよ、彼女がいじめられている現場を目撃して、私はその時なぞの、自分の内側から沸き起こる正義感でいじめをとめたわ、けれどそのいじめをしていたのは私の仲間だったの、遠目からは気づかなかったけれど、私は決まづい空気になったのをみて、逃げ出そうとした、すでにそのとき、私は仲間の一人を殴って倒してしまっていたから、でもその子がしばらくして立ち上がり私の手を引き私にこういったわ」
「お前ら、いままでの恩を忘れるな!!」
そういって、彼らは私とアールの前からさっていった。そのとき、アールに事の経緯を尋ねたら、“かつあげされていたお金を払えなくなった”という事だった、それ以外は詳しくきかなかったし知ろうとしなかったわ。
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