影
クオンとオリエラはそのあとうちとけて、昼食をたべ、オリエラが昼から用事があるというのでオリエラとわかれた。その日クオンは夕方バイトがあったので自宅にもどり一時的に少し眠った。クオンはそのとき夢をみた。オリエラと、おさげみつあみの少女が楽しく遊んでいる様子。しかしクオンは、その楽し気な夢のなかで、みつあみの少女がオリエラをゆっくり見つめる様子をみていた。
(うらやましいな……)
それは嫉妬にもにた、オリエラへの憧れ、というより、少女はその背後をみているような……。そしてクオンが背後にめをこらすと、巨大な、肉の塊のような岩のようなコートをきた黒い人影がその背後に居座っているようなさっかくをおぼえ、それがさらに巨大になりこちらにむかい、にやり、とわらい、次の瞬間。
「グアアアアオオオオオ!!!」
と奇妙な叫び声をあげた。そこでクオンは目を覚ましたのだった。
「連想にはいった」
おきたクオンは、ソネーユに起き抜けにそうよびかける。
「何をみたの?」
「少女時代の二人、少女の、オリエラへの嫉妬、オリエラの背後の怪物……」
「うーん、オリエラの少女時代には、まだ隠されている秘密がありそうね、もしかしたらその怪物が何かしでかしたのかも、それで仲を引き裂いたとか?記憶って、あいまいなものもあるからね」
クオンの能力は、自分で意図した時に意図した形で使えるというよりは相手との関係がよくなったときに、ふとした瞬間に使えることが多い。夢のなかで漠然としたものをみるのも、そうだ。たいていの場合、あまり制度の高くない予知夢として現れる。そうしたことを知っているソネーユは、クオンがわざわざ口にする夢に関してはいつも信頼をおいて、それが事実であろうと、または事実になるであろうと確信している。それから、オリエラの次の依頼は一週間後と少し時間があいていたので、クオンも別の依頼をしたり、バイトをしたりしていたが、クオンはオリエラの事が結構きになっていた。何か不器用さに自分に似たようなことを感じるし、彼女には、依頼とは別の喫緊に解決しなければならない“何か”があるように思えた。それはただの彼女のおせっかいだったのかもしれないが。
オリエラもオリエラで、普段はある飲料メーカーの事務をしているのだが、仕事をしながらクオンに対する態度やら、自分の悪態やらを反省するとともに、どうやって彼女について、親友について説明するべきか、悩んでいた。というのも、説明しづらい事で彼女に助けられたことがあったからだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます