記憶

「それだけならよかった、けれど彼女が転校してから、彼女は重い病にかかり……一年もしないうちに他界してしまった、くやしさを残したまま……」

「……」

「私には彼女の気持ちはわからない、けれど、自分から交霊術に参加したり、あんなにしんじていたのに、自分が被害にあったとたんにペテンと言い出して、彼女をいじめるようになったあの逃げ出した少女、私はいまでも彼女たちの事は許せない、許せないけど」

 オリエラは右手のひらを左手で覆って、かみしめるように、ぐっとにぎった。

「でも、自分が一番許せないのよ、私は彼女をかばうこともしなかったし、同じものをみることもできなかった、でも、彼女が正しいことを信じていた、だって私は……」

 クオンが心配そうにオリエラをみる。ソネーユは、そんなクオンの肩にやさしくよりそっていた。

「話すぎちゃったわね、それに、いまはこの話は信じてもらえないだろうから、とにかく私は、彼女の能力を確信した、そういう経験がひとつだけあるの、彼女が近頃、私の夢にでてきていうのよ、赤いスカーフ、赤いスカーフって、赤いスカーフは当時、私たちの学校、同学年で流行していた、その流行をもたらしたのは彼女だった、彼女はもしかしたら……同級生たちに、私に恨みをはらせっていっているのかもしれない!!!」

「うーん……」

 クオンが悩み、ソネーユを見る。ソネーユも複雑な顔をしていた。

「私はそうは思えないわ、もしそうだとしても、その手助けはできない」

「そう……」

 オリエラは少しふさぎこみ、表情は前髪で隠れた。

「それはそうよね、私もそこまでは望んでいない、彼女らを恨む前に、私は私の後悔をどうにかすべきだし、私自身のことをどうにかするしかないわ」

「あなた自身のこと?」

「私、最近変なのよ、確証はないんだけど、霊能力があるかないかその人の周囲にある気配で理解できてしまうの、そしてそれがほとんど当たっている、霊能力者に何人もあって、調べたわ、けれどあなたのいうように、ひどい態度をとったりはしていないの、それは別人だと思う、多分……でも確かに、私は近頃自分から霊能者を探しては、あまり能力がないとわかると、がっかりしてしまって、本当の霊能者をみつけたいの」

「多分って……あなたがそういうなら、私は信じますよ、大事な依頼者ですから」

 そういうと何かもうしわけなさそうにオリエラはわらった。

「ありがとう……そうね、まだあなたには期待できそうだわ、あなたが本当の霊能者だったら、彼女の本心について聞きたいことがやまほどあるの」


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