素直
オリエラは少しため息をつくと、クオンにむかって優しくよびかけた。
「ごめんなさい、あなたを何度も試すような事をして、あなたの能力についてはわからない事も多いし、何か気を使ったり、ずばっといったり不可解なところがあって私自身どうすればいいかわからなかったの」
そういうと、ソネーユは自分にも責任があると感じて、クオンの肩にすわりながら
「う……」
とつぶやいた。クオンも少し落ち着きをとりもどして
「ごめんなさい、私もちょっと小さな事で怒ってしまって、私の能力は少しエンジンがかかるまで時間がかかるし、間接的な記憶や想いから、人の過去のできごとや亡霊の事について知る事が多いの、だから理解を得られないことも多くて、私……小さいころから病弱であまり人と接点が多くなかったから変な所もあるし」
オリエラは優しくクオンの話を聞いていると、やがて右手を前にさしだした。
「私ももう少し正直に話していくわ、あなたへの依頼にかかる料金はとてもリーズナブル、そう、小遣い程度に、だから別にここまで疑う必要もなかった、私は少し……過去との決別、あるいはその方法をさぐっているだけなの、あの子が、本当に能力のある子が疑われたり、差別されたり、そういうのは見ていられなかったから」
「……話をききます、あそこに座りましょうか……」
クオンが指さしたさきには、ブランコがあった。なにか温かい気配を感じて、そちらをゆびさしたのだが、オリエラははっとして、そうね。とわらった。オリエラは、クオンが耳を傾けると徐々に過去のことについて語りだすのだった。
「昔、中学生の頃よ、今はとなり町にすんでいるけど、私はこの町のこのあたりにすんでいて、仲のいい友達がいたの、とても仲が良く、今も生きていたなら、ずっと仲良しのはずよ」
「そうなんですね」
「彼女は学校でも人気だった、いつも正しいことをいうわけじゃないけれど、ときどき正しいことを予言したり、占ったりするし、幽霊を見たりする能力だって、確かに知るはずのないことをいいあてたりした、そんな彼女に私はあこがれていたし、皆も、その頃そういうものがブームだったこともあって、彼女を愛していたわ、あの事件が起きるまでね」
「事件?」
オリエラは語り辛そうに眉をしかめた後、しばらくあとため息をついて、語りだした。
「ある少女が、友人が立ち合いのもとでおこなわれた交霊術、ヴィジャボードの最中に恐ろしいものをみたといって、呪われてしまったの」
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