すれ違い。

「少しは能力を持っているかとおもったけど、気もきかないし、コミュニケーションも下手だし、その上能力もあんまりなんて、あなたどうして霊能力者なんて……」

 クオンは少しむっとした。

「あなたこそ、私を騙しているんですか?」

 オリエラが振り返る。

「はあ?何をいっているの?」

「最近、噂になっていますよ、もういいです、こんなことなら、ソネーユのいう事なんて聞く必要もなかった、初めから私の能力を疑うことが目的だったんですか?」

「あなたねえ、何なのその態度、仮にも私は依頼者よ」

「私の先輩占い師からきいたんです、最近霊能力者や占い師にいちゃもんをつけたり、依頼をすっぽかしたりして、困らせている人がいるって」

 オリエラは、耳元の髪の毛をかきあげながら、困惑した顏でクオンを見つめた。

「……そんなのしらないわよ」

「友達の能力について調べてほしいっていってましたよね」

「それが何よ」

 オリエラが胸元で腕をくんで、といつめるようにぐっとまえにでてきた。クオンは少しおびえたように一歩ひるみながら、手はもじもじと掌をこすりながら、しかし口だけはつよくうったえかけた。

「その噂の依頼者っていうのが“友達の能力を調べてほしい”って依頼してくるって話なんですよ」

「そんな……まさか」

「やっぱり心当たりがあるんですか?」

 今度はオリエラが困ったような顏をした。

「心当たりっていうより、私じゃない、そんなこと……それともあの子の関係者が?」

「初めから、からかうだけのつもりなら、もうこれで依頼はおしまいにします」

 クオンが珍しくすねて荷物をまとめようとすると、ソネーユがクノハの髪の毛から飛び出してきた。

「クオン、いくらなんでも決めつけすぎじゃない?」

「それは……でも、こんなになんども試練ばっかり、私、なんかコミュニケーション能力低いのに」

「……うーん、まだそのレベルじゃないわ、まだ深くかかわってないもの」

「あなた、この前は深くかかわるまで能力を強くつかっちゃいけないって」

「それは……時と場合によるのよ」

 そのとき背後から、オリエラがよびかける。

「何ひそひそしてるの?」

 クオンは最早、疑われることや怪しまれることなど構わず正直にいった。

「話しています、妖精と……」

「!!」

 オリエラは目を丸くして、クオンをみつめた、その時間、クオンの体感では10分くらい。

「どうしました?」

「いえ、その純粋な表情、しぐさ、一瞬あの子とだぶって感じて」

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