二日目

 クオンはその日は夕方からしっかりと休み、夕食には、パスタをたいらげた。昨日の依頼者のオリエラさんはまた明日くるといっていたので、明日は例の依頼が少しは進展するだろう。それに期待して、すべての準備を終えるとぐっすりと眠った。

 そして翌日、昨日と同じ時間帯にくるとおもっていたが、思ったより早く、朝の9時に彼女はやってきた。

「こんにちは」

「あ、早かったですねえ」

「あら、いけない?」

 オリエラにとってはあいかわらず不愛想で、無表情なクオンは、怒っているようにみえて、オリエラも少し不機嫌そうに、口をとがらせる。クオンは困ったように話題をかえる。

「今日はどうします?早速何か“品”があるのなら鑑定にとりかかってもかまいませんが」 

「ある場所に、一緒にいってほしいのよ」

「場所?場所の鑑定もできますが……」

「それもあるけど、今回はあなたを試してみたいの」

「試す?」

「うん、いろんな意味でね」

 クオンは少しとまどって、首をひねった。この依頼者、本当に依頼を遂行するつもりがあるのだろうか、まだ信頼されていない?いろんなことが頭をめぐる。

「こんな早くきて、休みをとったのよ、いくの、いかないの?」

「ええ、依頼ならばいきますが」

 そういった次の瞬間、ふりかえりながら、オリエラが言った一言が、クオンは依頼がおわるまできになり、頭にのこった。

「……後悔してるんだから、話せるなら話させてよ……」


 その日、オリエラにいわれた通りついていくと、ある公園にたどりついた。簡素な、そしてとても小さな公園で、砂場とブランコしかない。

「ここはね“あの子”とよく一緒にあそびにきた場所なの、住宅群から距離があり、唯一人が文句を言わない場所だった、この町の最後の公園」

「……」

「何か感じる?」

 クオンは、そういわれていろんな記憶や残留思念をめぐり、オリエラの少女時代と思える記憶を頭の中でみつけたが、ソネーユの言っていた言葉をおもいだした。

(いきなり核心をいわないほうがいいかな)

「ええ、あなたとあなたのお友達がここで遊んでいたのね、二人で」

「まあ、そうね」

「悲しみを感じるわ」

 本当はクオンは、この場所に残るオリエラの後悔のような感情をみつけていたが、それはいわなかった。

「でも、誰でも思いつきそうなことよね、もっと核心的な事はいわないのね、少しがっかりしたわ」

「え?……うーん」

 といっても、いまさら本当の事をいったところで、口からでまかせといわれそうだし、と戸惑っていると、オリエラがいった。

「あなたもほかの占い師や霊能者たちと同じなのかも……」

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