第43話 人形
「クスィ!」
前にある
さっきまであった振動も音も、今は聞こえない。そして何よりクスィが目を
「くそっ!」
それが意味する事を想像し、
とにかく今はクスィの所へ……。
「結局、これを選んじゃったか……」
「……なんで?」
「来ちゃった」
「世界は
「……夢?」
「そう、夢。これはね。昔使われていた装置。現実としか思えない
理解できない。けれどさっきまでのが現実としか思えない夢であったなら、一瞬で状況が変わっていた
「いつから?それに
「ああ、ごめん。ごめん。当然そうなるよね。でもこれは夢じゃないよ。
言われるがままに自分の
「痛い?」
「痛い」
「じゃあ、それが証拠。この装置に痛みを感じさせる機能はないから」
そう言われてみれば確か、最後に痛みを感じたのは駅で
そして僕が入っていたクスィと同じ六角柱、その最初に受けた印象。あれが正しかったのだとすれば、だとしたら僕が夢に落ちたのは……。
「
「そう。
僕の
「じゃあ、それはもう要らないね」
そう言った
「
続けられた
「もっとも今までしたどんな説明も私の言葉を信じられないと言われたら役に立たないんだけど……
「ああ、
「どういう意味?」
「さて、どういう意味でしょう?」
問いに問いで返される。まるで分からない。与えられた情報全てに
「分からないようだから、ヒントを上げる。私は全てを知っている。でもそれは本当に不思議な事?思い出してみて、
与えられた言葉を
「それじゃあまるで全部千歳が……」
口にしながらそんな事ある
「そうだよ。初めから全部私が仕組んだ事なんだ。実はね私も
「……嘘だ」
「本当は明かすつもりはなかったんだ。
口にすべき言葉が思いつかずにただ
「混乱しちゃった?まぁ、そうだよね。受け入れてもらうには時間が必要だね。それと、もっと情報も」
そう言いながら
「今から流すのは、私達が消した人類の歴史の一部」
注視した画面に映し出されたのは、病室のような場所にいる老いた
「クスィ……」
「クスィは説明しやすくする
僕とクスィのちょうど中間地点で足を止め、此方に向き直った
「彼の呼んでいるクスィは、そこにいるクスィの事じゃない。別の
そう言われて、クスィという
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