第42話 あなたの為に③
「クスィ、命令だ。戦争が起こったらどうなるか答えろ。本当に僕達は負けるのか?」
そう言い切ると
クスィの優しい嘘を
噛みしめられたクスィの
「……勝利できるでしょう」
その言葉に、胸が
「この都市を守って生活を維持する事は?」
「……
それは僕が思っていた通り、求めていた通りの答えだった。
「ああ、そうか、やっぱりそうなんだ。今の人類では、僕達に勝てない」
「まさか、そんな事を実行するつもりですか?」
指輪の放つ光が消え、命令から解放されたクスィが僕を
「この都市以外なら全てが
「あり得ません。戦争になれば確実に何万という人が死に現在の世界は崩壊します。その先に現れるものを
酷く悲しげな顔をしたクスィはどこまでも
「でも、そうしたら、……そうしたらクスィは……」
「
「
僕の言葉を待たずクスィは優しく
「……いや、間違っている……間違っているよ」
耐えきれなくなって
「では、正しい事をしましょう。
「……管理者として、命令する」
僕の言葉に反応して
「お別れです
クスィは
間違っているのだと解っている。きっとクスィは僕を許してはくれないだろう。
だけど、だとしても手放したくなかった。存在するただ一つの可能性を、
「
声を張り上げると僕を信じきっていたのだろうクスィが表情を変えた。
「やめてください。
立ち上がろうとしたクスィはそう出来ないみたいだった。きっとクスィは僕が
「そんなのどうでもいいんだ。世界がどうなろうが知った事じゃない。見知らぬ命はただの数字だ。それで守りたいものが守れるなら、どれだけ失われようが構わない。クスィを助けられるなら、僕の望みが叶うなら、僕は
室内に
飛んでいた機体が真っ二つになり、中から人の形をしたものが落ちていく。あの高さでは助からない。僕はまた人を殺した。そしてこれからも殺す。それが間違っていると解っている。
「ああ、どうして……これが、これがあなたの答えなのですか?」
悲痛な
「そうだ。これが僕の答えだ。クスィの
叫んだ声は
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