第41話 あなたの為に②
目に
「危ないから、動いちゃダメ」
顔を動かそうとしたら優しい声に
台所にある小さな窓から
「今日、
「
不思議そうな声を聞いて気が付く。母さんは
「友達。いや、それ以上に大切な人なんだ。
「そう、
「うん」
僕の
「じゃあ、もう大丈夫だね」
何気なく続けられた言葉。それに何故か不安を覚えた。
だからその前に体を起こして、母さんの腕を
「おはようございます」
目が覚めた
「良かった。治ってる」
「はい」
その返事が、目覚めた時に覚えた
「ここ、は?」
「
返ってきた言葉を聞きながら自分の頭がクスィの
「どうして、こんなところまで来てしまったんですか?忘れるように言ったのに」
問いかけたクスィはどこか複雑な表情をしていて、少しだけ怒っているような気がした。
「クスィが呼んだから」
クスィに
「それが反応してしまったのは、
「そっか……でも、どうしてももう一度会いたかったんだ。……君を助けたかった」
「
「けれど、おかげで
それを聞き、改めて自分がそれを成し
「そっか」
「ええ、もう心配していただかなくてもいいんですよ」
「この
「攻撃を受けているのです」
なんでもない事のようにクスィは言った。
「攻撃?」
「
空には無数の
「戦闘を避ける為、
確かに都市の
「けれど大丈夫です。この
「それなら、良かった……でも、これからどうすれば」
「
クスィが指さした先。部屋の中央には
「私があの椅子に座れば、全ての
問題はないというその言葉に何故だか不安を覚える。
「クスィも一緒に帰れるんだよね?」
すぐに
「……残念ですが、それはできません。
「そんな……それじゃあ駄目だ。僕はクスィを助けに来たんだ」
「いいえ
「違う……そんなの、僕にはどうでもよかったんだ。クスィを助けられるなら……それにクスィだって僕と一緒にいてくれるって言った」
「確かに言いました。けれど可能な限り、と」
確認するみたいに発せられた言葉に絶句する。
「そんなの……そんなの嘘と一緒じゃないか……まさか、あの時にはもう……」
「此処まで辿り着いてしまったらこうするしかない事は分かっていました。嘘だと言われてしまったら確かにそうかもしれません。けれどお
クスィの声が
「戦闘範囲外に出る安全な通路は端末に送信済みです。ですからあとは……」
「嫌だ。僕はクスィを助けたいんだ。何か……そうだ、もういっそ全部やめて逃げよう。何もかも放り出してそれで……」
「どこへ逃げるというのですか?都市は完全に
「それなら
それを聞いたクスィの表情が
「……
向けられた強い
「でも……でも僕は、あんな思いをするのはもう嫌なんだ。だから何か、何か別の方法を」
そんなものが無いのは分かっていて、それでもそれを
「
穏やかで、けれど力強い呼びかけに視線を向けるとクスィは優しく
「私は死ぬのではありません。これはあの時のような意味ではないですよ。本当にただ、少し長い間眠るだけです」
「そんなのは言葉遊びだ。壊れなくたって目を覚まさないなら、それはあの時と同じ意味だよ」
叫び返した言葉にクスィは違うとは言わず。ただ
「けれど、もともと私は百年以上眠っていましたし、目覚める予定も本当は無かった。それに私以外の人形は目覚めさせなかったじゃないですか」
「そんな理屈には
「そうですね。確かにその通りかもしれません。私にとって
何も言えなくなった僕を残してクスィが身を
「眠ってしまったら、いつ目を覚ませる?」
この瞬間を
「いつか世界が本当に平和になって、人が
それは間違いなく嘘だった。そんな日はやってこない。例え実現する
でも、そう出来ないでいる
「さぁ
僕を
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます