第40話 あなたの為に①
人の気配がない事を確認し、
「動くな!」
「次は当てる。その銃を捨てろ」
恐怖で硬直した身体をゆっくりと動かし振り向くと、そこに
その事実に
動けずにいる内に男が動いた。銃口をこちらに向けたままゆっくりと片手を離し、
「こんな形で再会したくはなかったよ」
「覚えていてくれたみたいだね」
表情の変化を読み取ったのだろう女が言った。
「でも名前までは覚えてくれてないかな?まぁいいや、こっちでは
女の
「
「私は君を止めなくちゃならない。それは分かるね?君にとっては敵のように思えているかもしれないけれど、でもそうじゃない。銃を捨てて大人しく
女が言葉をかけたから、そこに
「あんたたちはクスィを使って何かをしたい
「いや、もうその必要はない。確かに
「なんで……」
これほどの設備を用意しながら、それを中止する理由が分からない。
「君はどうして此処に人形があると分かったのだろう?人形が此処に移されてからまだそれほど時間は経っていない。それにさっき複数の
女の問いを否定できる言葉は思いつかない。それは今まで何度も繰り返された問いだった。良く知らない女と、知ったような気でいるクスィ。
僕にかけられる言葉はいつも正しく聞こえる。けれどどうしても
「そうか……」
僕の顔を見つめている女は残念そうに
「君はきっと本当にその人形を助けたいだけで、言葉にも
女が浮かべた
「君が指示に
あいつという言葉からあの男の事を
「ここにあいつは来ないよ。あいつの命はもうそう長くない」
女の言葉に生まれた
「ああ、戦闘の結果では無いから君の
その言葉は
同時に自分の身体が、女の射線からクスィを守っている事に気が付いた。僕がここから降りていけば、女はクスィを撃つだろう。首筋を
「……分かった……でも一つ、一つだけ、あんたを信じるために、先に銃を捨ててくれ」
口にした言葉が意味を成すのかどうかは分からない。
「分かった。銃を捨てよう。今からそうするよ?」
僕が少しだけ
僕は間違っているのだと思う。差し出された手を受け入れれば、いつものように助けてもらえるんだと思う。それでも……。
「あなたを信用する」
心の中で
「
制止を無視し
クスィまでの距離を果てしなく遠く感じる。軽い銃声が連続し、ついで金属音が
「
女の声、走り出したのだろう靴音。クスィの元に到達する
けれど僕はまだクスィがそこに
「クスィ!」
叫びながらその細い腕を
「再起動シーケンス、実行」
背に腕が
確かなのは抱きしめたクスィの身体のひやりとした
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