第20話 刀鬼⑤
『‐放て!‐』
通信に流れる
「……残念です」
風に乗って聞こえた
それを見た人形が装甲に突き立った矢を全て切り落とし反転。急加速し目標を
糸を追って駆け出していた俺に人形が
遠距離から射出された
追いついた人形にすかさず
身体を回転させて俺の刀を受け流した人形が側面に移動。
刀身を引き戻す時間が無い。
ようやく引き戻せた刀身を切り上げれば、押し込む事を
「
間合いの四歩外まで後退した人形はそう言いながら、距離が開いた事で撃ち込まれた数発の弾丸を最低限の動きで叩き落とした。人形の胸部装甲が開き排熱を行う。
「お
人形の言葉を無視しながら
「仕方がありませんね」
『‐こいつを破壊せずに回収する事は不可能だ。
そう通信に叫び、返答を待たずに要求を続ける。
『‐それから狙撃手を分散させ狙撃の準備を、俺が斬られたらそこを狙え。もろともで構わない‐』
思いつく限りでは、
本体でないとしてもこいつは絶対に此処で
『‐
「‐そんな馬鹿げた
「‐なら
「‐ただ、一つだけ思いついた事がある。一発でいいお前の狙撃を俺に
「‐任せろ‐」
想定した通りのその返答に全力で地面を
見上げれば
人形が地を
「あなたは良く
分の悪い
「‐
通信に叫びながら、人形を全力で押しやって飛び
振り下ろされようとしていた人形の
限界まで
刀身が
回り切った視線で人形の姿を
二振りの剣が二つの
「見事、です。ですがその程度では本体には及びません……」
「どうして理解していただけないのでしょう?人の知性があれば十分に到達可能な
人の統治する世界には悲劇や苦しみが
けれど本当にそうでしょうか?それは
人は人による統治が自らの
その言葉を否定出来なかった。それはきっとどこまでも正しい
人は正しさを追求し言葉を発する
それがきっと人形には理解できない。正しすぎるが
「我々が目指しているのは同じ場所である
人はずっと私達のような存在を求め続けてきました。それを
どちらも同じ人の
「ですが仕方無い事かもしれません。結局、貴方が手にしているそれが人の
此方に向けられた
つられて動かした視線の先で刀身が
その先にある
「僕も殺すの?」
心臓が
「違う。俺は……」
「その人は僕を助けようとしてくれていたのに、どうして殺したの?」
俺の言葉を
「俺が斬ったのは人形だ。人間じゃ無い」
言い放った
「でも人間は誰も僕を助けようとしてくれなかったよ。どうして僕は助けてもらえないの?」
悲しそうに言った少年の姿がブレた。視界に別の
「お前は助けてもらったのに、僕だって持っていたのに」
少年の声が
「どうして……?どうして……?どうして……?どうして、どうしてどうしてどうして」
繰り返される問いに答えられない。それでも少年に向けて手を伸ばそうとした
飛び散った温かい液体が顔を
「‐……おい、大丈夫か、返事をしろ!おい!‐」
「‐大丈夫、だ‐」
「‐何があった?‐」
「‐……
見た
無理やり動かしていた腕はもう自分の意志では動かなくなった。
「‐そうか……じゃあ、今日は
「‐それにしてもお前、さっきのはとてもまともな考えじゃねぇ。上手くいったのが奇跡だ。合わせられなかったらどうするつもりだ‐」
「‐そしたら斬られて死んでたさ、そもそもやらなきゃそういう
「‐なっ……ふざけんな。馬鹿が‐」
「‐それより、この人形の言葉をどう思う?もしあれが全て事実だったとしたら俺達は正しい、のか?‐」
手にした刀をいつもより
「‐ああ?……分からん。その人形が嘘をついていないとも言えんが、人の記録が不完全なのは事実だ。この国にだけほぼ完全な形で人形都市が残り、起動する人形が存在する事もな‐」
不機嫌そうな声は鬼の言葉を有り得ないとは言わなかった。
「‐だが、確かなのは、お前が口にしたように、人は人形の
確かにその通りで、自分でも解っている。けれど見せられた光景と人形の言葉が
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