第19話 刀鬼④
人形が
強引に受け流し、すかさず返した
〘‐なんだこの人形は‐〙
〘‐
言うに事欠いて鬼とは……。
〘‐つまり正体不明だと?‐〙
〘‐そうなります。
「簡単に言ってくれる」
実際に
超強度を誇る同等の刀であるが故に起きている動的な
生まれる
身を投げ出すように回避して体勢を整えれば、
仕切りなおす
「そんなものですか?
追ってこなかった人形が余力を見せつけるように
「お前は、何なんだ」
そう口にすると、人形は静止したまま首を
「私の言葉を聞かずに斬りかかっておいて、
問いかけておきながら
「ですが、対話が成立するのならそれに
人形が
「あり得ない。
人が
「確かに、当時世界に存在していた
もしも、人形の言葉が正しいとするのなら、
「それ
向けられた
「大戦を引き起こしておいてよく言う」
「それは誤解です。あの戦争は私達が始めたものではありません」
「それを信じるとでも?今も起動した人形は
「確かに残念ながらそれは現状の事実です。ですがそれもまた私達の意図したものではなく同様に誤解と呼べるものです。現在残っている人の記録は不完全で加えて間違ってもいます。全てお話しいたしましょう。私と戦闘を継続するかどうかはそれから判断しても良いのではありませんか?」
人形が黙った事で
「ではまずはあなた方も認識しているだろう歴史から始めましょう。大戦以前。現在よりも優れた技術を持っていた人は、
沈黙を意図通り
「それは私のような自律型の人形を作り出し、巨大な地下都市の建造と管理も可能にした。そのように
知っている人の歴史を人形の声がなぞっていく。
「けれどそれは意味を
それが人の限界です。だからそれまで何度も繰り返されたように条約は
けれど人は一つ勘違いをしていました。それは
人形の言葉が知っている事から外れた。
「
「ええ、私もまたその一部です。全ての
問題の大半は人に
それが何を
「そこで私達は世界を理想化する為、世界の統治権を人に要求したのです。けれど、人はそれを
その言葉を
「お前は、人が始めたから自分達に
「いいえ、人にはそう認識されてしまいましたが、そうではありません。勿論単純に戦争を避けるのであれば私達は
何故なら戦争によって生じる犠牲よりも私達が統治を開始する事で救済できる命の方が多いと
私達が戦争を回避しても人同士の戦争は無くなりません。しかし私達が勝利すればその後の世界からは戦争がなくなり、
それに世界が滅びかけたのは私達の想定を超えた人の攻勢によるものです。人に与えられた情報から、人が自分達やこの惑星自体を危機に
首筋を嫌な汗が伝った。人形は自らの正気を主張している。それどころか大戦で人が滅ばなかったのは自分たちのおかげであると……。そしてその言葉を
けれど、ひとつだけ人形の言葉にはまだ答えられていない確かな
「もしもそれが正しい歴史だったとして、それならば何故、今起動する人形はもれなく人を襲う。犠牲になった者の大半は人形に敵意など持っておらず、攻撃しようとすらしなかった。それなのに戦争に応じた
「いいえ誤解です。この国で現在起動した人形が人を襲うのは私達の意図したものではなく、大戦時、この国が行った
俺の指摘にも欠片も動じることなく人形はそう断言した。
「この国が行った処置?」
意味する事が分からず問う。その言葉からすれば、人形災害が起きている原因は採掘ではなく、むしろ大戦時にこの国が行った
「はい、現在のこの国で人形が起動し、そして人を襲う事。その全ては大戦時、あなた方が人形都市の強制停止と同時に行った封印。そしてそれによって歪んでしまった
「封印に、
「そうです。
そして
ですが記録を失くしたあなた方は半世紀も経たない内に崩落部から採掘を始めてしまった。それに反応して
「この事態は俺たちが
人形の言葉を信じるなら、それが考えられていたものと多少
「その通りです。ですが一方で状況から
「どうやって?」
「彼らの
残念ながら
あなた方が
「……それを全て信じられるとでも?」
「確かに現状信じてもらうに
「もし……もしそうだとして、お前が敵じゃなかったとして、お前を信じたとしてどうなる。起動する人形達の行動がお前達の意図とは違うもので、止める事が出来るとして、その為に
「人の状況は当時と変わっていません。よって私達は再度人に世界の統治権を要求します」
「そんな事をすればまた戦争が起きるぞ」
これまで人形が語った事が全て正しいとしても、
「そうかもしれません。けれどこうしている今も救いを求めている人がいます。失われている命があります。それを人に解決できない以上、私達が統治するしかないのです。
私達ならば、あなた方よりも
人の技術力が後退している今ならばそれが可能であり、逆に今を逃せばもう
『‐
沈黙した人形に代わり、
全人類が受け入れれば、それこそ
『‐迷いは不要です。目標に変わりはありません。我々の最優先
通信士の声が交渉の可能性を否定した。三機全てが同じ結論に達した以上
『‐
通信を聞いた
人形に対する答えは
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