第3話 人形を壊す人形③
刀身から身体に衝撃が伝わった直後、
見れば、まだ
『‐
強化が終了し重くなる身体。
「‐今日だけで、いくつ貸しだ?‐」
曲げた左腕に刀身を挟み込み、付着した
狙撃のみに重点を置いた
『‐あれが、
そこに視線を送ると意図を
立ち尽くし
そいつが一歩
肉体を離れ
「‐あんまり、気にすんなよ‐」
個人回線に
局内最強の狙撃手はそうであるが故に
その重要性と、それを行うのにどれだけの才と
だからこそ
「‐別に気にしてない。それよりお前がそんな事を口にした事が最高に気色悪い‐」
「‐はぁ?折角気にかけてやったのに、ありがとうぐらい言え。ばーか‐」
心に生まれた温かさを
俺に自然体で接してくる唯一の局員。顔も本名も知らないが戦友と言ってもいい。だからこそ、それできっと十分で、もしも感謝など伝えたら、それこそ互いに気持ちが悪いだけだろう。
「‐あとは任せておけ。お前は早く帰ってやれよ‐」
俺の横を通り抜けながら
◆◆◆
一般に
そんな車の前に立っていた黒服の男二人が近づいて来るのを見て歩き出す。無言のまま俺の前後をかためた男達に構わずそのまま足を進め、緊急車両の間を抜けて止められている
先に到達した黒服が開けた扉から後部座席に乗り込むと扉は
高速走行に移った車内から窓の外に視線を移せば、遠くに街を取り囲む軍事施設の
社会の変化に付いて行けず言葉として残るだけになった
だが大半の人間が
「‐……おい、まだ起きてるか?‐」
思考を止め、目を
「‐どうした?‐」
「‐現場検証の結果を聞きたいだろうと思ってな‐」
音量を上げた
「‐あの
よくある事だ。上手くいけばポケットに入れて持ち出せる物ひとつで一生遊んで暮らせるだけの金が手に入るんだからな。
まぁ、命を失うとまでは考えていなかっただろうが……だが坑夫の勘は当たっていた。内部には大隊規模の強化具足を作れるだけの
だがそれを聞いても心は
「‐何人死んだ?‐」
俺の問いかけに
「‐……二十六人だ。戦闘で死亡した局員を除き、公式には十一人と発表されるだろう‐」
「‐局員が十五人も死に、
「‐ああ、だが被害は最小限に抑えられた。主砲が
「‐いや、俺が、もう少し早く気づいていれば
「‐ならば俺は最初から
「‐それは違う。
損傷する事で
「‐ではお前だけが誤ったと?‐」
不満げなその声は、俺の答えを待たなかった。
「‐お前は理想を求めすぎる。全てを救えるような英雄は物語の中にしか存在しない。今日救えた命だってある。そして回収された
「‐解ってる。解ってはいるさ……‐」
ただ、それが言い訳のような気がすると、俺は口にしなかった。
「‐それならいい。けれど死んだらもう誰も救えない事と、それからお前を案じている人の事も忘れるなよ。……ああ、一応言っておくと俺じゃあないよ‐」
「‐……もしそうなら願い下げだ‐」
俺が言い淀んだ事に気付いていただろうが
「‐じゃあな。邪魔しちゃ悪いからしばらく通信はしないようにしといてやるよ‐」
通信が切られ、走行音だけが耳を叩くようになった車内で個人通信を繋ごうか考えて止めた。既に知っているだろう事を伝える意味は無いし、
だから今度こそ目を
遠ざかっていく
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