第6章 母の願い①


「こんにちは。レイ」


 ちょうほう活動のきょてんとなる店に行くようセルシオ副官から指示を受け、昼過ぎに小さなカフェに向かった。

 店内はある程度にぎわっていて、それでいて落ち着いたふんだった。


「こんにちは、ティツィアーノ様」


 にこやかにほほむレイはだれかに似ている気がする。


「……ねぇ、これからいっしょに行動するのに『様』はつけないで。ティツィでいいわ。敬語も無しでお願いできる?」


 席に着きながらそう言うと、彼が少しおどろいた顔で、「……ティツィ……」とつぶやいた。


「これからよろしくね、レイ」


 そう言うと、彼はさっきよりやさしいひとみで、「よろしく、ティツィ」と言った。

 その言い方になぜか胸がドキリとねた。


「ところで、例のお店にはどうやって行くか分かる?」

陽炎かげろうていは開店が夕方だから、時間になったら案内するよ。それまで店の見取り図をかくにんして段取りを話し合っておこう」


 そう言って彼がてのひらサイズのノートを取り出した。

 彼の開いたページには店の見取り図がかれており、カウンターから、入り口までのきょ、店の二階の間取りまで描かれていた。


「昨日の今日で良くここまで調べられたわね」

「僕の他にも諜報員はいるからね」


 確かに、諜報員が一名という事はないだろうし、自領だからこそできる事だろう。


 店を出て、案内された『陽炎亭』の店内は、開店したばかりだと言うのにすでに賑わっており、空いたテーブルは二つしか無かった。

 その時見覚えのある男達が視界に入った。

 カウンターに座る男達はあの裏路地にいた男二人だ。

 レイも気づいたようだが、不用意に近づくのはけるべきだろう。


「レイ、あの奥の席に行きましょう」


 そう言って、男達から一番はなれた席を指差すと、レイはすんなりと同意し、席に着き、飲み物と食事をたのんだ。それから彼は周りに聞こえない程度の声で言った。


「何か聞こえる?」

「特に会話はしていないみたい」


 彼らはただ食事をしに来ただけのようで、私たちの注文したものが来るころには店主に「また来るよ」と言って帰って行った。


「まぁ、今日は現場の確認に来ただけだし、彼らが誰かと落ち合うのは来週と言っていたから。とりあえず食事をして帰ろうか」


 なんだかかたかしを食らったようだが、見取り図で見る店内と、実際の間取りを確認できただけでも十分だ。


「ティツィ、案内したいところがあるんだけど、いかな」


 食事が終わった後、レイに連れて行かれたのは街が一望できるおかだった。

 街の明かりがキラキラとかがやき、どこも賑わっている。小さなけんはあるが、犯罪が横行している様子もない。治安のいい街だ。


れいですね。案内したかったというのはここ?」

「街をあくしておきたいかと思って」


 確かに、あの裏路地と陽炎亭とのおおよその距離や、大きな建物、彼らのしんにゅう経路やとうそう経路を把握しておくのは大事な事だ。


「それと別件で伝えておきたいことがあって」


 彼は言いにくそうに口を開いた。


「明日サルヴィリオはくしゃく家の方々が今回の件でレグルス家に来るそうだ。使いに行った人間が貴方あなたの事を伯爵家の方に伝えたかどうかは分からないけれど、ものの件で情報のすり合わせに来る」

「母も……?」


 来るのだろうか?


「お父君も弟君も来るそうだ」


 みんなで来るということはやっぱりテトが伝えたのだろうか?

 会いたくない。みじめにげた自分を母はなんと言うだろうか。

 自分の役割を投げ出した私をどんな目で見るだろうか。


「……ティツィ?」


 思わず自分を守るようにりょううできしめた私を不思議に思ったのか、心配そうな声で彼が聞いた。


「母には会いたくなくて……」

「……サリエ殿どのがあなたにこうしゃくとのけっこんを強要した?」


 心配というよりも、もしそうなら意外だという顔で聞いた。


「いえ。……言葉で強要した訳ではないけれど……。母をがっかりさせたくなくて……。期待に応えたくて。……誰かに必要とされたくて」


 思わずなみだあふれる。

 言い訳だ。ただ、母の期待に応えたかった。それ以前に誰かに認めて欲しかった。必要として欲しかった。

 あこがれのだった公爵様に勝手に期待して、そうして、勝手に見切りをつけ、面と向かって会うことをおそれ、一人で終わらせた。

 こうして私はつらいことから逃げてばかりだ。


「私は、母をらくたんさせてばかりだから」

「……サリエ殿がそうおっしゃった?」

「口にはしないけど、表情や態度で分かるわ。小さい頃からずっとそうだもの。……あぁ、でも王子とのこんやくの時は『初めから期待していない』と言われたかな……」


 あれが初めて言葉にされたものだと思う。いつもはがっかりした目線とため息だった。


「それは、アントニオ王子に期待していないという意味では……」


 いつかも聞いたセリフだ。


「みんなそうやってなぐさめてくれるけど、自分が一番分かってるわ。私では期待に応えられないのよ。意見を言う事さえままならないの」

「サリエ殿に向き合ってみては? 何がきっかけで変わるか分からないよ。でも動かないと何も変わらない」


 ここには自分を変えにきた。

 自分の心にあった母との向き合い方を置いてきぼりにしたまま。

 このまま見た目が変わっても私自身は何一つ変わらない。

 きょぜつこわくて、向き合うことから、自分の意見を言うことから逃げてきた。

 レイは優しくこちらを見つめたまま、おだやかに言った。


「自分を変えられるのは自分だけだよ」


 あぁ……この言葉が自分に返ってくる日が来るなんて。


「自分が変わりたいと思わなければ変われない。他人が言っても」


 人に言った言葉は自分に返ってくる。

 あの日、アントニオ王子に言った言葉だ。

 母と向き合わなくては、ずっと母というだいな存在のかげを追う事になるだろう。


「……私、ここに自分を変えたくて来たの」

「え?」


 レイの目が大きく見開かれ、何事にも動じそうにない彼を驚かせたようで気分が良くなる。


「前の婚約者……アントニオ王子に『野ザルのよう』だとか、『色気のかけらもない乱暴者』ってよく言われていたの。でもそれを気にしたことは無くて、自分を女としてみがくことなんてしてなかったから、そう言われても当然だと思っていたの」

「……ティツィは綺麗だ」


 レイは、イラッとしたようなげんな目をして言った。

 あまりのしんけんさに笑ってはいけないと思っても、かわいた笑いは止められない。


「ふふ……。ありがとう。でも自分が一番よく分かっている。しょうもしないし、美容なんて気にしたこともない。目だって、どちらかというとり目だと思うし。できるのは必要最低限のマナーぐらいかな。貴族れいじょうとして求められる女らしさのボーダーラインを割っているのよ。可愛いや綺麗なんてえんだわ」


 レイは何か言いたそうに……でもだまって話を聞いてくれている。


「……それでいいと思ってたのよ。がんって、勉強して、けんじゅつを磨いて、ほうの練習をして、国を守れたらって……。いつか母や……あの人に認めてもらえるような人間になりたいと思っていたから」

「あの人……?」


 ピクリと反応したかと思うとレイの雰囲気が変わった。


「そう、太陽のタッセルの人よ」


 レイが所属するレグルス騎士団の公爵様だなんて言えない。


「アントニオ王子と婚約破棄した時、自分の好きな事をしようと思ったの。もう王太子という言葉にまわされることなく、自由に生きようって。どうせ殿でんに婚約破棄された私に結婚は無理だから、憧れの彼のいるところで騎士として生きていくのが良いんじゃないかって。……でも、王都から帰ったらきゅうこんの手紙が来ていて……」

「サリエ殿の意思のまま結婚をしょうだくしたと」


 そう冷ややかに言った彼の言葉に思わずまた乾いた笑いがこぼれた。

 そうだけどそうじゃない。最終的に自分の意思で彼に承諾の手紙を送った。断れない結婚だという思いはもちろんあったけど、憧れの人からの求婚にがった。

 彼のもとで騎士として近くにいるよりも、女性として側にいたいと思った。

 憧れがいつこいに変わったかなんて分からない。いつも王城で彼を目で追っていたのが当然になった。

 好きな人に好きになってもらいたい。でも女らしさのかけらもないことなんて自分が一番分かってる。

 思いを伝えることから逃げ、ただ、手紙には結婚の承諾だけを記した。


『お前はずっとシルヴィア一筋だと思っていたよ』


 あの日、その言葉を聞いて感じたことは、『あぁ、やっぱりね』だ。

 綺麗になりたい。こちらを向いて欲しい。

 少しでも、貴方の心のどこかに引っかかっていたい。

 そう思いながら妻になっても、誰か他の女性といるところを見るのが辛い。それがアントニオ王子ならきっとなんとも思わない。

 言い訳に言い訳を重ね、向き合うこともなく逃げたくせに、それでも何か彼とのつながりがしかったのだと思う。だからここに来た。

 急に黙った私を心配したのか、彼の雰囲気が変わった。


「ティツィ……。サリエ殿に向き合ってみてはどうかな。それでダメなら君が彼女に見切りをつければ良い。君が努力する価値のない相手だと。君は自分をめすぎだ。とらわれすぎてはいけないよ」


 彼の言葉に思わず目を見開いた。

 母に対してそんな事、考えたことも無かった。


 ──ティツィに、母親に逆らえず結婚を承諾したのかと聞くと彼女は押し黙った。

 あのうんざり王子から解放され、太陽のタッセルの騎士のもとに行こうとした矢先、絶対的な母親にすすめられた結婚を断れなかった彼女の心痛は如何いかほどだろうか。

 いつもキラキラと輝いている彼女の目は今、不安げにれ、サリエ殿について話す時の彼女のなんとたよりないことか。

 自分の知るサリエ゠サルヴィリオ伯爵じんは期待に応えられないからと言って部下をさげすんだりするような人物ではない。本人の努力や、本質を評価する人間だと思っている。

 何よりむすめかくしつがあるとの報告も無い。むしろ……。


「そうね……。向き合ってみるわ。今向き合わなければきっと一生向き合う勇気なんて持てない。……ありがとう、レイ」


 そう言った彼女の瞳は先ほどとはほどとおい、意志の強さが秘められた美しい目だった。

 その瞳と、彼女の言葉に胸が大きく跳ねる。


「君の努力は尊敬されるべきだ。りょくが低いことに甘んじる事なく、今の地位も実力も自分の手でつかんだんだ。もっとほこるべきだよ」


 そう言うと、彼女の瞳が大きく揺らぎ、見開かれた瞳はにじむものを必死にこらえようとしている。


「ありがとう。レイは『あの人』に似ているわ……」


 そう言って、彼女はむなもとの小さなふくろにぎりしめた。


「太陽のタッセルの……?」

「そう。全体的な雰囲気とか、話し方とか。今の言葉も……」

「へぇ……」


 今彼女が見ている人間は茶色のかみに青い瞳。

 サルヴィリオ騎士団の副官、ルキシオンと同じ髪色に瞳の色。ねんれいも三十代ぐらいだ。

 彼女のおもい人はルキシオンなのだろうか? そう考えるのが一番に落ちる。


「彼には昔からずっと好きな人がいて……。その人はとても綺麗でりょく的な人だから自分では相手にならないの。そんな女性になりたくて……」

「だからなりたい自分になりたくて、レグルス領へ?」


 副団長の思い人がどんな女性か知らないが、ティツィほど魅力的な人間はいない。


「そんな男に見切りをつけて、他に君を見てくれる人にしたら?」


 声にしっが滲み、冷たい言い方に聞こえたかもしれないが、しようがないと思う。タッセルを握りしめる彼女はうっすらとほおを染め、優しい思い出にひたっているようで、腹の底から不快なものがみ上げるのをせいぎょできなかった。

 副団長に思い人がいたのが救いだろう。そうでなければ、人知れず彼を消していたかも知れない。

 すると彼女は「当たってくだけてみるのも有りよね」とふっと笑った。

 その言葉と、った表情に思わず驚くも、「砕けたら拾ってね」と一つぶ流れた涙から目が離せなかった。

 明日、伯爵家と共に副団長の『彼』も来るのだろうか……。



*****



 レイの言う通り、サルヴィリオ家が公爵家に魔物の事件についてしんちょくじょうきょうの確認に来た。

 昨日帰宅してリタに母が来るので話をすると言うと、朝早くからリタがリリアン様から教えてもらったという私に似合う最新のメイクをして、「これで完全武装です。おじょうさまには分からないかもしれませんが、化粧は女の武器です」と言って念入りに化粧をしてくれた。

 手は込んでいるが、色味などをひかえめにされた私に似合うという「ナチュラルメイク」とやらは少し大人っぽく見えた。

 二階の窓から父や母、弟に続き数人の騎士が案内されるのを見ていると、その後ろから王家の馬車もやって来た。

 国の守りである二領をき回そうとする問題は当然王家も看過できないということだろう。

 こっそり裏庭そうのふりをして、話の内容を聞きに庭に出るも、公爵様のしょさいは結界が張ってあり、防音効果も高いようで全く話が聞き取れなかった。

 こうなったら、公爵家の人たちにバレないように会うにはギリギリの距離から母が出てくるのを待つしかない。

 そうして必ず通るであろう庭園の中ろうしげみで、一定の距離を保ちつつ、掃除のふりをしながら様子をうかがっていた。

 しばらくつと公爵様とセルシオさんだけが出てきて、部屋の中の人間に「では、調査結果が分かりだいご報告します」と言ってしゃくをし足早に出ていった。

 客人を置いてどこに行くんだろうか? 急ぎの調査にでもいくのだろうか?

 不思議に思いながら様子を窺うも、その後は誰も出てこない。

 自分の心音がドクドクと聞こえ、足もすくんでいるが、このチャンスをかさなければ私は成長できない。全てのことから逃げるくせがついてしまうだろう。……今までがそうだったように。

 母はいつ出てくるのかとあまりに集中しすぎたのか、きんちょうしすぎたのか、不覚にも『やつ』が近くに来るまで気づかなかった。

 覚えのある不快なこうすいにおいがしたかと思うと、後方からおうへいで、不機嫌そうな声で話しかけられた。


「おい、そこの女。公爵のしつ室はどこだ」


 なぜ、アントニオ王子がここに!?

 先ほどの王家の馬車には乗っていなかったはずなのに!


「ん? なんだ貴様、自国の王太子も分からんのか? 俺はこの国の王位けいしょう権第一位のアントニオだ」


 ドヤー!! と書かれていてもおかしくない顔面をぶんなぐりたくなるしょうどうおさえ、目元がかくれるよううつむあいさつの礼をとる。

 彼の後方に三人の護衛騎士もいるが、主人の横暴を止めるそぶりのない彼らは、ただただ王子に付き従うだけだ。


「ここのしつとやらに、今は重要な話をしているから待てと言われて待っていたんだが、俺は急いでるんだ。案内しろ」


 つまり恐らく案内されたであろう別室から勝手に出てきてしきをうろついているという事だろう。


「もちろん存じ上げております。アントニオ゠エリデンブルク王子殿下。今公爵様はおけになりましたが、執務室に向かわれますか?」

「当然だ。公爵に会うのがメインじゃない。俺の王位継承権のことで父上に至急聞きたいことがあったんだ」


 いや、王宮で聞けよ。

 思わず心でそうツッコんでしまう。

 そりゃぁ、誰も執務室に案内しないはずだ。なんで継承権のことなんて重要な事人んで聞かなきゃいけない訳? 常識なさすぎでしょうよ?


「左様でございますか。公爵様の執務室には、陛下もサルヴィリオ家のみなさまもいらっしゃいます。ただ……」


 待った方がいいと話を続けようとした私の言葉を彼はぶったる。


「そうか。ではその部屋に行って、俺が来たからと言ってサルヴィリオ家の連中は部屋から出せ。陛下と二人で話がしたいからじゃだ」


 と、まさに世界の中心は俺様だという揺るぎない自信に不快感がマックスまで上がる。

 とつぜん他人の家に来て、自分の都合で来客を追い出せとは何事か。しかもぼうな陛下が直々に現場の様子を見に来ているというのに。

 というか、アントニオ王子は私の家族が苦手で、俺様王子の癖に、母には絶対に近寄ろうともしない。だから自分では追い出す自信がないから私に言ったのだろう。


「皆様、重大なお話をされていらっしゃるので、お話を終えられるまでお待ち頂くのがよろしいかと思います」

「……っき、貴様。メイドの分際で俺を誰だと思っている!」


 彼の魔力がゆらりと揺れるのが分かる。王宮では誰も彼に逆らわない。すぐ感情的になって権力と暴力にうったえるからだ。

 王家の人間は総じて魔力が強いけれども彼は自身の魔力のコントロールや、たんれんを行わない。魔力の強大さが全てだと思っている。

 単調な大きな魔力のかたまりをぶつけるしか能がないこうげきは避けるのも簡単だし、弱い魔力でも、コントロール次第で受け流すのも簡単だ。


「メイドの分際で俺様に意見するとは……死にたいのか?」


 冷めた思いで彼の言葉を聞いていた。

 こちらから彼を押さえ込むのは得策ではない。

 さわぎになって執務室にいる人たちに気づかれたくない。


「……ん? 貴様、どこかで見たことが……」


 くさっても元婚約者だ。

 かみがたと雰囲気が少し変わったからと言って、十年も婚約者をしていれば一目見た時点で気づくのが当たり前だと思うが、腐っているからしようがない。


「ティツィアーノではないか!」


 彼の表情がえつみにくゆがんだ。


「なんだ貴様、ここにいる事にも驚いたが、色気付いているのか? 化粧なんぞしよって」


 ぎくりとしたしゅんかん、彼の手を避けられず、まえがみごと髪の毛を摑まれ顔を上に上げさせられる。

 ていこうすれば彼は騒ぎ出すだろう。なすがままに、上を向かされ彼をにらみつけた。


「なんだ? 愛する男の下へ行ったと聞いていたが、俺様がここに来るのを待っていたのか? そんなに恋しかったか?」


 のする言葉とともに、理解できない思考回路にけん感しか無い。


「そうかそうか、それならもう一度婚約をしようではないか。レグルス公爵より、俺様の方が若くカッコイイから忘れられなかったんだろう? 俺が継承権を失うくらいなら第二きさきでもえられるとマリエンヌは目に涙をたたえながらけなな事を言ってくれたからな」


 やっぱり私との婚約破棄で継承権を失ったようだ。何が王位継承権第一位だ。思わず小さな笑いがこぼれる。


「どうせ、公爵にとついでもさるなんぞ相手にもしないだろうさ。いさぎよく俺の下へもどってこい」


 勝ち誇った顔で彼が言った瞬間、後方でドアの開く音が聞こえ、何かがすごい勢いでこちらに向かってきた。


「こんの、クズ王子があぁぁぁ! ウチの娘になにしょるんならぁぁぁぁああああ!」


 そう言って勢いよくアントニオ王子の顔面を摑み、後方に投げ飛ばしたのは、ちがうことのない母親だった。

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