第10話 雪の街で

サーシャは……飛び出したはいいものの…

テルが何処へ行ったのかも分からず…手当り次第に、、

店の中を探した。



カフェだったり、花屋だったりと

探しているうちに

サーシャは自分が何処に居るのかさえ


分からなくなってしまった。





はぁ……はぁ……。

サーシャは悲しみのあまりその場に崩れるように座り込んだ。



今年の冬はとても寒い。

さっきまでのテルの温かさが消えていく……




サーシャは泣けてきた……


【テル………テル…助けて! 】




声にならない声をサーシャは泣きじゃくりながらも

しゃくりあげていた。



道行く人達は……

皆、幸せそうに歩いている。




サーシャは……いつしかテルを

求め出していた事に気が付いた。







『私が……私が悪いの。テル……どうか!!』



体温が雪の冷たさで奪われていく。サーシャはガタガタと震え出した。




哀しみも後悔も押し寄せる様にやってくる。



『あぁ、神よ!!どうか助け?』






サーシャは……自分に雪がかからないのに、今更気が付いた。



不思議に思い顔を上げると……










テルが笑顔でサーシャに傘をさしていた。



サーシャは思わず涙をたくさん流した。


『テル!!ごめんなさい!!わたしっ……』




体中冷たくなったサーシャをテルは抱き寄せて耳元で囁いた。




『ありがとうサーシャ。愛してるよ。』




雪の降る街の中……




ようやくテルの気持ちが通じたのだった。サーシャはたくさんの愛を感じながら



テルの腕の中に居た……

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