第2話 憧れが現実に?

演奏が始まる前……俺の心臓は

()



と脈を激しく打っていた。


いつもと違う……。

そう、違うんだ。


サーシャが僕を見てる。

しかも、真っ直ぐな目差しで。



手に汗を握る感覚が、、、

五感が鋭くなる感覚が、、、




(いや、、、だって、あの有名なサーシャが?俺なんかを??……でも実際に来場してくれてるし。)




次の瞬間




俺は息を深く吸って、両腕を

すぅっと上に上げた。






『ダダーーン!!!』

演奏を始めると俺はサーシャに届くように


愛を込めて演奏を始めた。




1つ1つの音に愛を絡めながら

思考回路は、サーシャへの熱い心を音で表現する事に


全集中した。



俺には、、、俺には、、、!これしか方法は無いんだ!




演奏は佳境に入っていく。


どんどんと濃厚な時間が流れ出す。

俺は、サーシャに耳元で囁くように。そして時として強引な誘い文句を言うかの様に、





ピアノの演奏で口説いていた。




(どうか、サーシャに届け!!)





目をつむりながら、

ピアノで、サーシャに語りかける





僕は勝利の女神が

微笑む瞬間を、垣間見た様な気がした。




長い様で短いコンサート。

今日に限っては、瞬く間の出来事だった。





演奏が終わるとシーンとした。




と……次の瞬間!!?



割れんばかりの拍手が俺に送られた。

会場全体が、スタンディングオーベーションだった。




出来としては、満足だったが。



サーシャの方を見つめると……

その表情は、



何処か不満げな様子にうかがえた。



『OH MY GOD!!』

両手を上に上げながら、首を左右に振っている。



ゴスペル歌手からしたら、俺はやはり、まだまだなのか?!






《サーシャ!!》

《サーシャ!!》




俺は …………

  俺は ……。




てっきりサーシャは、喜んでくれると勘違いしてしまっていた。



だが。サーシャはさらにジェスチャーしながらも俺を見つめていた。





そう。サーシャは、

俺に……こう伝えてきた……



(!)




そっか。サーシャは

情熱的な異性が好きなんだな?





俺は幕が閉じると、目を輝かせながら、

『本気で





☆このチャンス……

    逃してなるものか……

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