ふたり

たから聖

第1話 ゴスペル。

天才的ピアニストのテルは……

ある人物に恋い焦がれていた。


《天才的ピアニスト》と言われるまで努力に努力を積んだことも、



全てに逢いたかったからだ。




テルは、今日もコンサート前に

その女性の曲をスマホから流していた。



力強い歌声……

優しい顔付き……


そして、、、その類い希なる美貌に




テルは憧れてやまなかった。



テルの心は、いつも1つの夢を

抱いていた。



サーシャの曲を僕が弾いて……

サーシャがゴスペル歌って……



世界中を巡って……幸せな家庭を築くんだ!



『その為ならば、犠牲もいとわないさ。』



誰にも打ち明けずに、ひたすら

天才的ピアニストとして日々忙しく活動していたテル。




『さぁ、始めようか!』


立ち上がったテルは、何だか会場が騒がしいのに気が付いた。




(??俺……?まだ幕上がってないんだけど?なんかあったっけ?)



天然のテルは、自分のファンが

騒いでるだけかと、



その時は思った。






      🍀🍀🍀



幕が上がる。いつもの歓声が上がる!


ピリリと緊張感が走る。





と……ザワザワとザワつく方向を向くと。



一際ひときわ異彩を放つ存在が、黒服のSPに囲まれて



パンフレットを持ちながらも



こちらにセクシーな眼差しを

向けた。





俺は固まった!何故なら。何故なら。


憧れて止まない……





が僕のコンサートに来場していたからだ。




お忍びなのか?!と近辺を見るが……



サーシャは真っ直ぐに見つめていた。

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