紅糸島の奇祭〜カースト底辺の俺を嫌って、イケメンに擦り寄る許嫁よ、さようなら!これから俺は、島の生き神様に贄として愛されひたすら甘々の日々を送ります〜
第25話 閑話 双子の精霊 今更知る真実《キー視点》
第25話 閑話 双子の精霊 今更知る真実《キー視点》
社の責任者であり、贄、真人の祖母でもある菊婆が亡くなった……!
社に激震が走る中、生き神様は我々を菊婆の警護を頼まなかった事を深く後悔され、生き神の正装、和服ではなく、祭りの際、真人が贈った洋服を身に着けてかの者の元へ向かおうとされていた。
今の真人の状態と二人きりになれば、今儀式以外で一線を越えてしまうというタブーを犯してしまう危険があり、ナーと共に激しく反対したが、全てを覚悟した生き神様を前に了承せざるを得なかった。
「ありがとう」
痛みを堪えるような表情の生き神様を真人の部屋にお送りして、数時間後……。
「「!!生き神様……!||||」」
部屋に戻って来られた生き神様は、体に変化をきたされていた。
「……。キーちゃん、ナーちゃん。ごめんなさい……。真人と社の皆には、まだ、言わないで……。」
「「な、なれど……!」」
腹部を抱えて暗い表情で頼んでくる生き神様に流石に承服しかね、反論しかけたが……。
生き神様は震えながら縋るように頼んでこられた。
「き、気持ちの整理がつくまでの数日でいいの……。
先代贄も、あと3日でお戻りになるでしょう?その時には必ず公表するから……。お願いよ?キーちゃん、ナーちゃん。」
「「生き神様……。」」
涙を落として頼んでこられる生き神様は、ともすれば、精神の糸が切れてしまいそうな程儚げでいらっしゃり、儂もナーもそれ以上言えなくなってしまった……。
✽
その後、社のスタッフの半数程が菊婆の葬儀から戻り、 新しい社の責任者、御堂早苗が挨拶に来て、明日の午前中に新しく社の体制を整え、島民会に対抗する為の会議をすると知らせて来た。
夜分遅く、疲れたご様子の生き神様が寝入っていらっしゃる間、儂はナーと話し合った。
「ナーよ。新しい社の責任者をどう思う?」
「ああ、御堂早苗という女か。密かに心を読み、今のところ、不審なところはないようじゃが……。まだ、菊婆程の信用がおけるわけでもないの……。」
問いかけに対するナーの答えに儂も難しい顔で頷いた。
「ああ。生き神様が公表を躊躇う気持ちも分からぬではない……。が、島民会に対して、第二の贄を退ける何よりの理由になるものを……。」
「やはり、常ならない形である為、ご心配なのだろうな……。200年前に、ああいう悲劇があったから、余計に重ねてしまうのであろう。」
「ああ。今頃になって、真相が分かるとは。始祖様の御石のお力の効力は恐らく……。当時の生き神様は法度を犯した罪の意識に苛まれ、あんなにも不安定になっていらしたのだな……。我々は何も分かっておらなかった……。」
ナーの言葉に、儂も200年前の状況を思い返し、沈痛な表情で頭を振った。
「始祖様は、このような状況になる事が必ずしも不吉ではないとおっしゃっていた。小さな命にも障る故、この騒動を収め、生き神様には安心して頂かねば……!」
ナーは、儂の言葉に少し表情を明るくして力強く頷いた。
「そうじゃな、数日後には明人も戻るし、事態は好転するじゃろう。この事態を引き起こした真人に対しては……。」
「「取り敢えず、制裁じゃな!!💢」」
儂とナーは綺麗に声を揃えてそう言うと、拳を握り締めたのであった……。
*あとがき*
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m(_ _)m
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