第9話 生き神様は贄の背中を流したい

✽まえがき✽


※性的表現があります。苦手な方はご注意下さい。また、15才以上の閲覧でお願いしますm(__)m


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽








大浴場に来てみれば、目の前には裸の超絶美少女(俺の嫁=生き神様)が胸にタオルを当てて待機しているとは…??

↑待機している訳ではない。


一体何のサービスなんだ、こりゃあ?!


「えーと。あかり、どうして君がここにいるの…?」


「それは、こっちの台詞ようっ。どうして、真人がここにいるの…?」


慌てて前をタオルで隠しながら聞いてみると、あかりは俺と同じ位今の状況に困っているようだった。


タオルで隠しきれない胸の深い谷間や、湯舟に浸かり、ピンク色に染まった濡れた肌を思わずガン見しながら、俺は言い訳をするように答えた。


「いやさ。俺、『8時にお清めの湯に入れ』って菊婆に言われたから、その通り

来てみれば、何故かこんな事に…。」


「贄がお清めの湯に入るのは確か、夜だった筈よ?」


「えっ!そうなの?もしかして、俺、時間聞き間違えたっ?」


驚いている俺に、あかりは呆れたように苦笑いしていた。


「もう、真人ったら…。廊下に羽坂さんが待機していた筈だけれど、止められなかった?」


「あ、いや。そう言えば、俺を見てすごく驚いていたけど、何かを確認しに行った後、問題ないって通されたぞ?」


「確認しにって…。あっ。『継嗣の儀は今日の夜ですよね?』って再確認されたのだけど、あれって、『真人が来ているけど通していいのか』って事だったの?

羽坂さん、分かりにく過ぎるわ〜。」


あかりは、額に手を当てて参っているようだった。


よく分からないが、俺の聞き間違いと羽坂さんとあかりのやり取りに齟齬が重なってしまい、こんな事態になってしまったらしい。


「ご、ごめん。あかり! 元はと言えば、俺が時間聞き違えたのが悪いんだ。

すぐに出るよ!」


あかりと後継者(俺達のベイビー)の為に、出来るだけの事をしてあげたいと思っていたのに、継嗣の儀という大事な儀式の前にやらかしてしまい、情けない思いで俺が脱衣場に戻ろうとすると…。


「あっ。真人待って!!」


「あかり??」


「そのまま戻るのはどうかと思うわ。せっかく来たんだから私が背中を流してあげるわ?ねっ。」


「えっ。」


突然浴場に乱入した俺を怒るどころか、生き神様に背中を流してもらえるなんて、ラッキースケベLevel1000みたいな事あるんですかい??


「でへへ……。あかりがそんなに言うなら……。」


束の間の反省もどこへやら。俺は軽い足取りで浴場に舞い戻ったのだった。


        ✽


ゴシゴシゴシ……。


「おう…。おおう…。」


背中に程よい刺激を受け、俺はあまりの気持ちよさに声を上げてしまっていた。


「よいしょ。よいしょ。真人。結構強めに擦っちゃっているけれど、痛くない?」

「ああ。大丈夫。極楽だよ。このまま昇天してもいいぐらい幸せだ〜〜」


チラリと後ろを見遣ると、俺の背中をタオルで擦ってくれる超絶美少女の姿が。


一生懸命なあまり、力を入れる度にプルンと大きな双丘が揺れて、巻いているバスタオルが緩みそうになっているのを俺が邪な目で見ているのにも気付かず、あかりは無邪気に笑った。


「ふふっ。そう言ってもらえると、やった甲斐があるけれど、本当には昇天しないでね? この後、継嗣の儀も控えているんだから…。」


「お、おうっ。そっちはバッチリだと思うぜ?」


内側から沸き起こる大いなる力によって、下半身に巻いたタオルが持ち上げられそうになっているのを隠しながら、俺はあかりに親指を立てた。


「けど、あかり。何度も儀式以外で呼び出している俺が言うのもなんだけど、こんな風に贄と生き神様が一緒にお風呂していいのか?」


流石にちょっと気になって、聞いてみると、あかりは一瞬口籠った。


「し、仕方がないでしょう? 時間を間違えたなんて言ったら、真人、菊婆に怒られてしまうわ。また、投げ飛ばされて継嗣の儀が出来なくなってしまったら、困るもの。私が真人を呼び出した事にすれば、丸く収まるでしょ?

だから、そう!これは、生き神の責務として正しい措置なのよ?」


「あ、あかりっ。なんて賢い懐の深い娘なんだ!ありがとう!」


そんな風に早口で説明するあかりの聡明さに俺は感動していると、あかりは小さい声で付け足した。


「え、ええ…。親しい人と一緒にお風呂に入るのがお母様が亡くなって以来だから浮かれているとか、そういうわけでは決してないのよ…?」

「あかり…。」


赤い顔で俯いてそう言うあかりは、言葉とは裏腹に頬が緩んでいた。


そうか…。あかりは、今、俺に先代生き神様であるお母さんに代わって、家族としてのスキンシップを求めているって事もあるのかもしれないな?


ここは、邪な気持ちを引っ込めて、彼女寂しさを埋められる存在にならなければ…!彼女が望むなら、俺はあかりのママにもなってみせるぜ…!と気合いを入れたのだが…。


「じゃあ、後ろ、軽く流すわね。よいしょっ。」

ザバッ!ツルッ!

「ひゃっ!」

「あかりっ…!わっ!」

ツルッ!


手桶に汲んだお湯で俺の背中を流そうとしてあかりは足を滑らし、そんな彼女を抱きとめようとして俺も足を滑らし…。


ドガシャーン!!ファサッ!


ぷにゅぷにゅん!

「きゃあんっ!!////」

「ぶぼっ!!////」


あかりを押し倒すように、二人して倒れ、タオルがはだけて露わになったあかりの胸に顔を突っ込んでしまっていた。

直に感じる柔らかなあかりの胸の感触にクラクラしながらも、何とか豊満な胸から脱出し…。


「ぷはっ。ご、ごめ…!あかり、すぐどく…」

ツルッ!

「うわっ…んぷっ!!んんっ!!」


プニュン。プニュニュン。


慌ててどこうとするも、また滑り、立とうともがくうち、あかりに甘やかな声をあげさせてしまった。


「あっ。やぁっ…!真人、顔、グリグリしないでぇっ。あ、あんっ…。やっ。ま、真人の真人が…!!」

「あ。」


そうこうする内、ただでさえ元気だった俺の息子が、この状況に活発化しないわけがなく、あかりの視界にそいつが入った途端…。


ドンッ!!

「真人のバカーーッ!! ここではダメーーッ!!」

「どわぁっ!!」


えらい勢いで、俺はあかりに突き飛ばされたのだった…。


        ✽


チャポーン。


その後、バスタオルを巻いて清めの湯に浸かりながら、頬をプクッと膨らませたあかりに、息子共々叱られる俺の姿があった。


「もう真人と真人の真人ったら……! 継嗣の儀について、説明を受けたわよね…? 後継者作りの行為は、決まった場所で行われなくてはいけないの。

私達は、生き神と贄。あらゆる場所で盛ってはいけないのよ?」


「うっ。うっ。頭では分かってるよ。あかりぃっ…。でも、こんな近くに好きな女の子が裸でいたら、俺もガン見しちゃうし、息子もご機嫌になっちゃうのは、仕方のない事なんだっ。ママになれなくてごめんよぅっ。あかりぃっ。」


「もー、真人&真人の真人ったら仕方ないわねぇ…。あと、ママになるって何…??」


泣きながら謝る俺&息子(今はしょんぼり)に、あかりは困った顔で、首を傾げていた。


「それにしても、あかり、そんなに怒っていても、やらかした俺と一緒にお風呂には入ってくれるんだね。」


「そ、そりゃあ…。家族と一緒のお風呂は、背中流しと、湯船に浸かるのがセットだから…。////」


「おお、いいね。そのセット!俺もそのハッピーお風呂セット推し…。」


頬を染めて問いに答えてくれるあかりに、少しでも機嫌を直してもらおうと俺が親指を立てた時、あかりの顔が間近に迫っていた。

 

チュッ。

「…!!//」


リップ音が鳴ると同時に、頬に柔らかい感触を感じ、驚いてあかりを見ると、彼女は、真っ赤になっていた。


「け、継嗣の儀は儀式と違って、時間制限はないから、その…。真人と真人の真人がどれだけ元気になっても大丈夫だから…。シュンとせずに、お利口さんに待っていてね?」


「あ、あかり…!」


彼女のチュウと言葉責めで、息子は即復活を遂げていた。


くうっ。あかりめ…!じゃんけんだけでなく、俺の息子の元気度合いも自由自在だと…?!


全てはお釈迦様あかりの手の平で転がされる悟空の如く。


「じゃ、じゃあ、これ以上入っていると、のぼせそうだから、私、先に上がるわね。真人。また、後で!」


ザバッ!タタッ!


俺が様々な衝撃を受けている内に、あかりは湯船から上がり、脱衣場に駆けて行ってしまった。


その後姿を見送り、脱衣場への戸が閉まった瞬間ーー。


「よっしゃー!!時間無制限!!パパになったるぜー!!」


俺は両拳を握り、力いっぱい叫んだのだった。





*あとがき*


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m(_ _)m


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