第22話 祭り③〜驚威の生き神様パワー〜

他にもいくつかブースを回り、今度は外で行う出し物を残すのみとなった。


外のブースの担当は、俺と補佐に保坂さんをお願いしていて、他のスタッフさんは警備をしてくれる事になっていた。


〜じゃんけん遊びブース✊✌️✋〜


「あれっ?いつの間にこんな遊び場が出来ていたの?」


お屋敷にの庭の一角に設けられた、丸太で作られた平均台のような遊び場に、あかりは目を丸くした。


「ふふん。その施設は、儂らが作りました!」

「そうです!真人に任せておいてはどんな事になるやら分かりません故。ですから、安全性に関しては、ご安心下さい!」

「まぁ。そうなのね?キーちゃん、ナーちゃん、ありがとうね?」


ドヤ顔になるキーとナーにあかりは微笑み、彼らも満足そうだった。


「えらい言われようだが、まぁ、確かに今回はキーとナーに協力してもらえて助かったよ。ありがとうな?」


「別に、お前の礼はいらんがの…。」

「そうじゃ。儂らは、お前の為じゃなく、生き神様の為にやったのじゃぞ?」


「ハハッ。分かってるって。」


俺にはツンな精霊達に苦笑いを浮かべ、あかりに向き直るとパンと手を打ち鳴らした。

 

「じゃ、早速やっていきましょうかね?

本番の前に一回説明するな?

俺は丸太の遊び場のこちら側からから上がって行くから、あかりはそちら側から上がって来てくれるか?」

「え、ええ。分かったわ。」


丸太の遊び場は、一直線上に丸太が並んでおり、それぞれ両側が階段になり、丸太が横になった平均台のような足場を進んで行くと、段々と高くなり、真ん中辺りは、最も高く、1メートル程になっていた。


「よっ…!」

トントントン!タタッ!


「よいしょっ…!」         

 トントントン!タタッ!      


俺とあかりはそれぞれ丸太の遊び場の両端から、上がって行き、真ん中の一番高い所で行き合った。


「??真人か私かが降りないと通れないわよ?」

首を傾げるあかりに、俺は頷いた。


「そうだな。だから、丸太の上で他の人に行き合ったら、ここで勝負をして、負けた方が降りる事になるんだ。」


「…!勝負…!?あっ…。ととっ!」

「ああ。行くぞ。ドン…。」


俺はあかりの方へ両手を突き出した瞬間、バランスを崩しそうになったあかりが、前へ一歩進み…。


ポヨンッ♡♡


「あっ…!///ごごっ、ごめん!!」

「!???」


「「なっ!なんと破廉恥な…!💢」」

「あらあら…。💦」


俺は誤ってあかりの胸を押してしまった。

着物の上からでも分かる、双丘の柔らかさを感じ、俺は動揺し、あかりはキョトンとし、精霊達は怒り、保坂さんは困ったような笑いを浮かべた。


「(??こういう遊びなのかしら??)えいっっ!!」

ドンッ!!


「わあぁっ!!」

ドサッ!!


次の瞬間あかりに渾身の力を込めて胸を突かれ、突き落とされ、俺は、下の草地に尻もちをついた。


「生き神様ナイスです!」

「当然の報いですじゃ!」

「あらあら…。💦」


「いてて…!あ、あかり。胸に触れたのは悪かったけど、何も突き落とさなくても…。」


受け身はとったものの、ズキズキする腰をさすって俺が文句を言うと、あかりが丸太の上から謝って来た。


「ご、ごめんなさい。真人、大丈夫?💦💦

てっきり、胸を押し合う勝負の遊びなのかと思ったの。」


「ああ…。ごめん。//偶然触れてしまっただけで、押し合う勝負じゃないんだ。

高い所で押し合うのは流石に危ないだろ?


本当は、お互いの両手を突き出して、「ドン」とタッチして、その後「じゃんけんポイ!」とじゃんけん勝負をして、勝ったほうが通れるという遊びだったんだよ。」


「ああ、そうだったのね…!」


俺の説明にあかりは大きく頷き、やっと遊びを理解してくれたようだった。


「けど、真人…。私、じゃんけんは…。」


躊躇うように何かを言いかけたあかりに、精霊達がフヨフヨと彼女の側に寄り、コソッと何かを話しかけた。


「(生き神様、ここは黙って、奴の遊びとやらに、付き合ってやろうではありませんか。)」

「(ええ。真人の驚く顔が見物ですじゃ。)」

「え、ええ〜っ。💦💦」


「…?」


困った顔をしているあかりに俺は首を傾げたが、遊びをすることに異論はないようだったので、早速本番を始める事となった。


          *


「じゃあ、俺とナーはこっち側から、あかりとキーはそっち側からスタートな?3回丸太を通り終えたらミッションクリアで、スタンプ押してもらえるって事で!


保坂さんは、スタートのかけ声と、見える限りでよいので、いざという時の審判をお願いします。」


「分かりました。」


保坂さんはにこやかに了承してくれた。


「はい。皆さん。位置について…!スタート!!」


保坂さんのかけ声と共に、俺とナー、あかりとキーは、丸太の遊び場を急ぎ進み…。


再び俺とあかりは丸太の上で行き合った。


「ふふっ。あかり、俺、こう見えて小さい頃からじゃんけんだけは、「最強王」と言われる程強いんだぜ?」

「ま、真人……💦💦」


自信満々の俺に、あかりは困ったような顔をしている。

ふふっ。心配するな、あかり。一回実力を示した後は、手加減してやるからな?


「「ドン」」


お互いに両手を突き出し、タッチをすると…。


「「じゃんけんポイ!!」」


俺が勢いよく繰り出したパーに対して…。



「…?!!」






あかりがチョキを出しているのを俺は信じられない思いで見詰めていた。


「なっ!じゃんけん最強王の称号を持つ俺が…負けた…だとっ?!💥💥」


「うふっ。ごめんなさいね?真人。」


ショックを受け、慄く俺にあかりは勝者の余裕の笑みを浮かべた。


「完全に、生き神様の勝ちですね。」


保坂さんが残酷なジャッジを告げる。


「いいから、負けたのなら、早く下に降りぬか!」


ゲシゲシッ!


「うわっ。ナーやめろ。分かったよ!」


後ろから焦れたナーにケツを蹴られ、俺はすぐに下に降りると、また、最初の上がり口から丸太を登り始めた。


「くそっ!次は絶対勝ってやるぜ!!」


「あかりを楽しませる」という当初の目的を完全に忘れ、俺はじゃんけん勝負に白熱し、闘志を燃やしていた。


次の勝負は、ナーVSあかりだった。


「「ドンジャンケンポイ!!」」


チョキを出したナーに対してあかりが出したのは、グー!


「やはり、負けてしまいましたぁ💦」


「ナーちゃん、ごめんなさいね?」


あかりはまたも勝ち進み、再び階段を登って来た俺と行き合った。


「あかり、「最強王」の名にかけて今度こそ負けないぜっ!」

「真人…。」


俺達は神妙な顔で向き合うと…。


「「ドンジャンケンポイ!!」」


俺が出した渾身のグーは…。






「やったわぁ!!」

「ば、バカな…!!💥💥💥」


あかりのパーの前にあえなく敗れ去った…。


「な、何故だぁ…!!」

丸太の下で、四つん這いになって、地面を拳で叩いている俺を尻目に…。


トントン…トスッ!


「よいしょっ。最後まで行けたわっ✨✨」


「ハイ、生き神様、一回目クリアされました!!おめでとうございます!」


丸太を通り終わり、ガッツポーズを取るあかりに、保坂さんがにこやかに声をかけていた。


その後も、あかりは無敗で勝ち進み、あっという間に3回クリアを達成した。


精霊達はそれぞれ、あかりには全負け、精霊同士は五分五分の勝敗、俺には全勝ちで、

キー、ナーの順に3回クリアを達成した。

つまり、俺はあかり、精霊達に一回もジャンケンで勝てなかった事になる。


「「最強王」と讃えられた俺が全負けとはどういう事だ…!!?_| ̄|○ il||li

確率的にもおかしくね?」


打ちひしがれる俺に、あかりは手を合わせて

謝って来た。


「真人が、じゃんけんが弱いわけではないのよ。最初に言わなくてごめんなさい。

何故かは分からないけど、私、。精霊達も、私以外なら負けないと思うわ。」


「へっ。どゆこと??」


目をパチクリさせる俺に、精霊達が説明した。

「まぁ、無意識に生き神様の神の力が働いていらっしゃるのじゃろう。

運に左右されるゲームでは負けないようになっておられるのだ。」

「生き神様の神力から生まれた儂らも同様じゃな。」


「えっ!?じゃあ、あかり、じゃんけんで一度も負けたことないの?」


「ええ。大体は…。けど、一度もというわけじゃないわ。勝った方に嫌な事がある場合は、負けるわね。

先代贄様に、じゃんけんで勝ったら苦手な教科、負けたら得意な教科を勉強すると言われた時は、負けていたわ。」


恥ずかしそうに説明するあかりを俺は拳を握り、驚異の目で見た。


「す、すっげー!!✨✨あかり、じゃんけん自由自在じゃん!!!

あかりって本当に神様なんだな…!!」


「そんな事で、神様だって納得されても何だかね…。

今まで、もっと神様らしい力を振るっていたと思うのだけど…。」


大興奮する俺に、あかりは、苦笑いを浮かべていた。


その後、試しに保坂さんとのじゃんけん勝負をしてみると…。


「「じゃんけんぽい!」」


俺が出したチョキに対して保坂さんはパーを出していた。


「やったぁ!3回連続俺の勝ち!ホラッ!他の人相手だと、俺、強いだろっ?なっ?なっ?」


パチパチパチ…。

「わぁ、お強いです。負けました〜。」

「よかったわね〜?真人。」


むきになってそう言う俺に、保坂さんとあかりが温かい目で拍手をくれた。


「「子供かっ!!」」


精霊達には冷たい視線で、突っ込みを受けたが…。



*あとがき*


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m(_ _)m


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