『王女の迷宮譚』 物語の構成、あるいは語り損ねた魔術について

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935182520


この物語で説明が面倒だったのが「過去」と「舞台」です。なので、それぞれをサイドストーリーに仕立てて本編の間に入れてみました。


とかく過去の因縁や人間関係が本編に係わるため、章の間に「大公事件」と称した一〇年前の出来事が挿入されています。登場人物の経緯や経歴はそうややこしくないものの、それを説明する時系列が小出しになっています。


同じく挿入された「宮廷講義」は舞台設定、いわば用語解説です。主役二人の講師と生徒という体に則り、授業風景で舞台を補足しています。ちなみに素直にファンタジーと言い切れないのはその辺りのややこしさも理由です。


で、この構成が裏目に出た部分があります。


物語の根幹に係わる設定として、普通の魔術の他に「古魔術」というのが出てきます。現行魔術との基盤の相違、施術の難解さ、特別視される魔術師の利権に反しているなど、研究するだけで蛇蝎の如く嫌われる代物です。


いわゆるロストテクノロジーなわけですが、断片的な術式パッケージが残っているため、矛盾するようですが魔術師たちには魔法のような悪さもできてしまう。


物語の中で唐突に出て来る英霊召喚的なものもそれです。終盤にはそういった世界設定に関する用語が説明なしで頻出します。物語上の禁忌だったため、物語内の授業で話すわけにいかなかったためです。


構成上で首を絞め、却って用語解説の意味が意味をなさなくなった。オチにも係わる部分なのに前振りが苦しいという本末転倒なことに。所々に無理やりキーワードは入れているのですが、それが精一杯だったのでした。

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