(四)

 巨勢こせ剛武たけしはいつも利用している駅近くのホテルに入った。

 電話しながら廊下を歩いて行き、部屋に入ると「クソっ」とつぶやいて電話を切った。何度も何度も電話しているのに、島田麻美は電話には出なかった。

 巨勢は名刺入れをジャケットの内ポケットから取り、名刺を一枚取り出した。

 「エグゼクティブ・セクレタリー レナ」と書かれている文字列の下の電話番号に電話した。


 三〇分後、部屋にレナがやってきた。部屋の前に立つレナを確認すると、巨勢はその腕を掴んで部屋に力任せに引っ張り込んだ。そしてベッドへ放ると、巨勢はその上に覆いかぶさった。そしてレナの唇を奪うった後、「いつものコースで」と言った。

「タケシさんだけのスペシャルオプション、頂きました」

 レナはそう言うと、巨勢に笑顔を見せた。


(続く)

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