(三)

 週が明けた月曜日、巨勢は仕事から帰宅した。時刻は既に夜二十三時を回っていた。

 巨勢は玄関からまっすぐにリビングへ来た。灯りはついていたが、妻は子どもを寝かせに子ども部屋にいるのだろう、リビングには誰もいなかった。

 巨勢は階段を上がり、ネクタイを緩めながら寝室に入った。部屋の灯りを付けてからネクタイを外してクローゼットの扉を開けた。スーツの上下をハンガーに掛けた。

 下着姿になった巨勢は、クローゼットのドアを閉めると、寝室を出ようとした。そのとき、クローゼットの前のダブルベッドに、妻の静華が座ってジッとしていることに、このとき初めて気づいた。


(続く)

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