(二)-12
翌週の水曜日、巨勢は不動産事業部の部長に呼ばれた。極皇商事は商社ではあるが、もともと不動産会社が母体だった。そのため、この不動産事業部は、この会社の中でも最大規模の人数を要している部署であった。その中でもこの部署の部長になれるのは、そうとうな業績を上げた人物のみであった。
巨勢はそのポストを狙っており、将来的には会社の中枢からトップへと上り詰めるつもりでいた。その意味で、同じ部署内でもほとんど面会などできない部長に会う機会が与えられたのだ。これは何かチャンスだ。巨勢はそう思い、内心喜んでいた。
(続く)
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