(二)-7

 良い思い出のように語る子育て奮闘記を一通り聞いて、話は一区切りついたと思い、巨勢はカップのコーヒーの最後の一口を口腔内へと流し込んだ。

 そのとき、思いがけないことを彩夏は口にした。

「実はね、この子、あなたの子なのよ」

 その瞬間、巨勢は激しくむせかえってコーヒーをうっかり吹き出してしまった。

 巨勢は慌ててテーブルの端に置かれているペーパーナプキンを取り、テーブルの上の黒い液体を拭き取った。

 その姿を見て同じく慌てた彩夏は、お手ふき用のおしぼりで巨勢を手伝った。


(続く)

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