第5話 神精力《プラーナ》
【幕間】
「ご主人様、熟睡されているみたいですね」
「ん。きっと緊張で疲れていたんだと思う」
「それはそうでしょう。なにせご主人様は日本で一日中お仕事を頑張ったあと、あのクズ創世神のせいで死んでしまって、フォースデン世界に放り出されたのですから」
「ほんと、あの創世神はウンコ」
「ダメですよ、ルー。女の子がそんなこと言っちゃ。それにその創世神のお陰でミカたちはご主人様にお仕えすることができたんですから。ウンコじゃなくてクソって言わないと」
「クソ創世神」
「うふふっ、よくできました。それにしても……ご主人様、とても良く寝ていらっしゃるみたい。ミカたちが側に居ることで安心してくださったのでしょうか?」
「分からない。でもそうだと良いな」
「本当に……」
ルーに応えながら、ミカは腕の中で眠るカミトの乱れた前髪を整えてあげた。
「ふふっ、ご主人様の寝顔、可愛い……♪ こうやってご主人様の寝顔を見つめていると、なんだか胸がドキドキしちゃいますね」
「ん。その気持ち、ルーも分かる」
「ミカたちはご主人様に創造された存在ですから、主人に対して好意を抱くのはごく自然のことですけど。でもご主人様を見て胸の中に湧き上がるこの気持ちは、それだけでは説明が付かない気がしますね」
「ルーたちの起源とは関係無く、
「お優しい方ですものね」
「最初にやりたいことがルーたちに美味しいものを食べさせることって言われて、ルーはちょっとびっくりした」
「過ぎた力を持った人は傍若無人に振る舞うのが歴史の常でもありますから、もっと自分の好きなように振る舞うのかと思ってましたけど……ミカたちのことを優先してくださったのは確かに驚きましたね」
「人の事を優先して考えられる人は良い人。だけどそれだけじゃダメ」
「ええ。ご主人様にはもっとご自分の幸せを追求してもらわなくちゃ。それを支えるのがミカたちの役目です。ルー。一緒に頑張りましょうね」
「ん。頑張る。でも頑張るためには主様の
「代行者の
「多分、大丈夫だと思う。ルーたちを見て主様はドキドキしてた。今もほら……ここ、すごく硬くなってるし」
「あらら♪ ご主人様も健康的な男性のようで安心しました……♪」
「眠っている間に神精力をもらったほうが良いかな?」
「それはさすがにご主人様に失礼では?」
「でも主様はお優しい人だから。きっとルーたちに遠慮してお情けをくれないかもしれない。それだとルーたちが強くなれない」
「強くならなければご主人様を守ることはできない、ですか。一理ありますね」
「ん。どうするミカ? ルーはミカの意見を尊重する」
「そう、ですね……あとでお叱りを受けるかもしれませんが既成事実を作ってしまえばご主人様もミカたちに手を出しやすくなるでしょう。ここは二人で協力して――」
「ん。主様を癒してあげよ……♪」
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