第7話
母親は外を見て言った。
「あの子たちのように遊んでばかりいるとね。バカな大人になってしまうのよ。 いまから差をつけておかなくちゃ、あなたは…」
ーまただ…またママの小言だ。眠い。
そう、ただ僕は眠っていたい…だけなんだ。
ー意識が遠のいた。頭の上に重い石をのせられたような気がした。
「重い…よう…。」
再び意識が戻ってきて、彼は頭を起こして起き上がった。
頭痛がする。そして彼はあいかわらず自分が机の前に座っていることに気づいた。しかし腕を見、体を見て自分が青年になっていることに気づいた。
彼は自分があいかわらず考え続けていることを知っている。しかしこの体の持ち主はまぎれもなく自分自身だということを感じているのだ。そして考えていることも手にとるようにわかる。
ー僕は…思い出しているのか?
今、この青年である自分は大学生だった。
そう、一流大学に入ってこれからという時で、ますます勉強に精を出しているのだ。勉強以外のことなど考えるものかー
一ふと背後に気配を感じてふり返った。
「なんだ、母さん...」
低いはりのある声が出た。
目の前の女は、幼い頃の自分が見た時より老けこんでいるが、確かにあの母親だった。しかしあの頃より悲しそうな顔をして オロオロしている。
「何?なんか用?」
「用がなきゃ来ちゃいけないの?
おまえという子はー
少しは気を楽にして遊んだらどうなの」
奇妙だった。 昔とは逆のことを言うとは…. 遊びたいーという気持ちが起こった。しかし口からは全く逆の言葉が出た。
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