第6話

暗闇の中にとり残された小さな小さな2人。


「これは、どういうことなんだろう。」

青白い少年がつぶやく。

「あの2人は生前の行いが悪かったからそれ相応の罰を受けた。男の子は心ない行いをして目を、女の子はくだらないおしゃべりで口を、それぞれ失った。だけど僕らはどうしてー思うように動けないんだろう。君は頭が異様に大きくて不自由してるし、僕は足が動かない。しかも顔の表情までも、だ。

どうしてだと思う?」


そう問いかけられて、頭の大きい子どもはうつむいてみけんにしわをよせて考えた。

「君はそうしてると老人のようだね。生きてる時もそうだったのか。 そうかわかったぞ。君は考えてるだけで何も行動を起こさない 子どもだったんだ。そうだろう。」


子どもーだって?

「僕は…子どもなんかじゃ…ない。」


頭をぐらぐら揺らしながらそれでも懸命に考える…

子どもじゃないけど、大人なのか。それもよくわからない。


その時頭の奥底に一つの光景が浮かんだ。



団地が見える。外はすがすがしく晴れていて、日だまりの中に公園があって子どもたちが元気に遊んでいる。団地の3階あたりから一人の子どもが 外を見ている。後ろ姿が見えた。

部屋の中を見ると小さな子ども部屋で算数の教科書が机の上に開かれているところを見ると、どうやら勉強中のようだ。

ふいに扉をコンコンとたたく音がした。 「誰っ?」 子どもはふり返った。というよりその子自身が彼ー頭の大きい子どもの意識だった。

目の前に母親らしき人物が立ってこう言った。


「そんなところに立って また外を見ているのね 。 だめじゃない。さっさとイスに座って勉強しなさい。」

子どもはイヤがった。が母親に背中を押されてしかたなくイスに座った。

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