復讐はブーメランの如く 2ページ目

「みんなー! 今日もより良い学園作りのために議論をしようよー」


 平和なリベンジャーズルームで私は、なんとなく議論をしようとした。べ、別に理由なんてないの、ただ、みんなとお喋りしたかっただけなんだからねっ。


「朱音先輩ー、議論の前にやることがあると思うんですけどー?」


「ふぇっ!? や、やることなんて……」


 そんなのあったかな。うーん、全然思い出せないよ、きっと奈乃ちゃんの勘違いだよね。もぅ、その歳で勘違いとか若年性アルツハイマーになったんだね。


「何を想像してるんですかー? まさか自分が忘れてるのに、人のことを若年性アルツハイマーとか思ってませんよねー?」


「ぎくっ!?」


 な、なんで私に心が読めるのよっ。


 これが噂に聞く悪女の隠れスキルというやつね。

 恐るべし悪女属性……ツンデレを脅かす存在になり得るかもねっ。


「朱音会長が忘れてるのって、もしかして生徒会長になったことー?」


「ち、違うんだからっ。さすがに生徒会長だってことは忘れてないからねっ!」


「会長が忘れてるのは、ボクと婚約したってことだよね。あのとき、熱烈にプロポーズされたんだし」


「それもちっがーーーーーーうっ」


 葵ちゃんにプロポーズなんてするわけないじゃないのっ。


 うん、そんな記憶なんてあるわけ──って、待って、葵ちゃんのあの目……まさか本当だって言うの!? 嘘よ、そんなの夢に決まってるんだからっ。


「そんなに照れなくていいんだよ? あのときの言葉は今でもボクの胸に刻まれてるからね」


「え、えっと……。本当に私がプロポーズしたの……?」


「そうだよ。雲ひとつない青空、透き通る海、そして白い砂浜のビーチで会長はボクの唇を──」


 えっ、私の記憶にはまったくないんだけどっ。


 そんな……私が知らないうちにビーチでプロポーズしたって言うの!? 実は心の中では葵ちゃんを望んでいたってこと? ううん、それはない、絶対にありえないもん。


 だって私が好きな人は──。


「あ、葵ちゃん、一応聞きたいんだけど」


「ボクと会長の間なんだから、なんでも聞いてよ」


「そのプロポーズって、いつの出来事なのかなっ?」


 そうよ、悩んでても仕方ないもん。ここは葵ちゃんに聞くしかないんだからねっ。


 胸の鼓動が跳ね上がるのが分かる。


 だってもし本当にプロポーズしたのなら──私は責任を取らないといけなくなるから。

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