第7話 フラれた恨みはどこへいく
フラれた恨みはどこへいく 1ページ目
「でも、よく放送室を使うなんて思いついたよね。ひょっとして、知らなかったのは私だけなの?」
リベンジャーズルームへ戻ると、私は素朴な疑問をみんなに投げかけた。
だって、理事長たちにあんな酷いこと言われても黙ってたんだから、その可能性はあるかなって。私だけ知らなかったのはきっと理由がある。と、信じてるからねっ。
「ボクは奈乃さんから口止めされてたよ」
「サキはねー、アメ玉で買収されたのだー」
「二人とも酷いよー。ということは、リアコン王子も知ってたってことなのっ! 嘘偽りなく私の目を見て答えてよねっ」
「ぼ、僕はその……えっと、ごめんなさい、知ってました。で、でも、西園寺会長に伝えようとしたら、神崎さんに脅されて……」
「ふぅーん、そっかぁ、奈乃ちゃんの言うことを聞くんだねー」
「さ、西園寺会長……?」
私の意見には必ず反対するくせに、奈乃ちゃんには素直に従うんだ。べ、別に管君が誰の言うことを聞こうと、私には一ミリも関係ないし。だいたい、たとえイケメンであっても、留年高校生とか隣にいるだけで、恥ずかしすぎるんだよっ。
それに、デートの件は私のためだったとしても、綾崎さんとデレデレしたのは事実なんだし、これは裁判しかないよね。今この場で徹底的に追求してあげるんだからっ。
「何よリアコン王子、ロリコン好きなくせに、エセお嬢様にはデレデレするとか節操がなさすぎたよっ!」
「僕は綾崎さんとデレデレなんてしてませんよー。何かの間違いですってぇぇぇぇぇぇ」
「ウソよそんなのウソに決まってるもん! だって、あのエセお嬢様が来たとき、ずっとデレデレしてたじゃないのっ」
気づいたときには、リベンジャーズルームから走り去っていた。
目からこぼれ落ちる涙を周囲にまき散らしながら、私は走ってはいけない廊下を駆け抜ける。
どこへ向かってるなんてわからない。
なんで走り出したのか、その理由すらわからない。
ただがむしゃらに校内を走り回るしかなかった。
そして、私が意識せずに辿り着いた場所は──。
「ここは……屋上、だよね。どうして、ここに来ちゃったんだろ」
ううん、理由なんて簡単よね。ここなら人がいないからに決まってるもん。自分の気持ちを整理するには、ちょうどいい場所なんだから。
私、なんで泣いちゃったんだろ。
管君なんて興味すらなかったのに、なんで……。
確かにイケメンではあるけどさ、管君のこと全然知らないわけだし。ちょっと変わってて留年とかしてるけど、顔がいいからって、それだけで私が惹かれるわけ──。
あっ、拓馬もイケメンだったよね。ということは、あれっ、ひょっとして、私イケメンに弱い系なのかな? ち、違うよっ、私はそんなにチョロくないもん。だいたい、管君のどこが気になってるっていうのよ。
やっぱり……顔?
それって、原点回帰じゃないのぉぉぉぉぉぉ。
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