生徒会選挙はツンデレで 5ページ目
『今回立候補した西園寺朱音です。この学園に君臨すべきは、陰キャの気持ちがわかる私しかいません。陰キャという属性を卒業し、今では立派な貧乳ツンデレ。そう、底辺しか知らない元陰キャの私だからこそ、この学園をよくできるのです。陰キャにも明るい学園生活を、これこそが、元陰キャで現貧乳ツンデレの掲げる理想の学園なのです』
ふがーっ、これのどこが演説なのよ。
誰がどう見ても、私をディスってるだけじゃないっ。
しかも、陰キャって何度言わせるつもりよ。おまけに貧乳ツンデレとか……。
こんなこと言えるわけないでしょーっ。
って、まだ続きがあるのね。どれどれ──。
『なんてことは、口が裂けても言ってはいけません』
だったら最初から書かなくていいじゃないっ。まったく、自分で自分の悪口を言うとか、私にはM属性なんてないんだからっ。思わずスマホを叩きつけるところだったじゃない!
それで、本当は何を話せばいいんだろ。まだまだ続くみたいね。
『私が生徒会長へ立候補した西園寺朱音よ。べ、別に生徒会長とかにはまったく興味がないのよ(ここは照れる感じ)。か、勘違いしないでよねっ。みんなの役に立ちたいって、ほんの少しだけ思ったの。本当にそれだけ、なんだから(重要なデレポイント)。で、でも、私が当選したら、ツンデレブームを巻き起こしたいって、思っているの。だから、私に投票して欲しいなっ(目薬で潤んだ瞳を演出)』
さっきよりはマシですけど、演技の指定があるのね。と言いますか、クイーン・オブ・ツンデレの私に死角はないよ。それよりも気になるのは──最後の『目薬で潤んだ瞳』ってどうすればいいの。
まさか、演説中に仕込むってことなのっ。
それはいくらなんでも不自然すぎるでしょ。
でも、事前に目薬をさしたら、最後まで持つわけないし……。
はっ、わかった、私、どうすればいいのかわかったよ。
空を見上げるフリして、目薬をさせばいいんだ。
今日の私は冴えまくりだねっ。
問題解決でスッキリし、今日の私の予定はベッドインダイブを残すのみ。そしてこのまま夢の世界へと──あっ、目覚まし時計をセットするの忘れてました。明日こそは寝坊せずに登校しないとね。
愛用の目覚まし時計と予備の目覚まし時計をセットし、私は今度こそ夢の中へ旅立ったの。
これなら、どんなにいい夢を見ていようと、必ず現実世界へ連れ戻してくれると信じて……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます