第2話『村長の陰謀』
インク村の陰謀。いいや、その陰謀の被害は成長をしないイボクのみ。つまり、村長の陰謀である。
イボクのおじいちゃんは昔っからイボクを構うことがなかった。じいちゃんでありながら、両親や全ての家族を失ったイボクにひとつの口付けをしたことがなかった。
両親やおばあさんのことがとうやって亡くなっているのかは分からない。だけど、きっとそれは何らかのイボクのせいだろう。
妻子を失ったじいちゃんには心残りが深く、きっとそれを招く孫のイボクに対しての恨みが大きいだろう。
その故でじいちゃんは企んでいる。イボクは必ず自分がやっていたことを償って、聖水を汚させて、イボクを成長できなくする。
成長を出来ないイボクにきっと村から嫌われていて、嫌な人生を送るだろう。自分のじいちゃんが絶対それを考えていると確信しているイボクだった。
だけど、妻子をなくする残酷なイボクにでも、生きている資格はある。
息を吸う限り、イボクは抗い続ける。消えろと言われて素直に消えるたまじゃない。
その思いの中にイボクは今インク村の一番雄大な建物の玄関の前に立ちはだかる。
この雄大な玄関は高さはこの村の偉い人が通れるためにイボクの身長の十倍もしている。
色付けは塔と同じ色の紫が黄色塗りでできている。
玄関の表面には牛の絵が刻まれている。
長く伸びる角、ゴッツイ筋肉模様のおおい額部分、それを同様する頬部分。両目は赤く染まり、そして加えに顰める額はますます恐怖を与える絵だった。
そして、鼻穴は出てくる鉄の輪が飾っている。どうやらその鉄を引っ張ることで中に入れるそうだ。
だけど、イボクが鉄を引っ張ると、ガチャ!と音が鳴っているその瞬間、開ける代わりに、牛の赤い目玉は色を無くなっている。そして、扉は開ける様子を無くなっている。
「なに?!」イボクは驚いている。開けようとしても、開けようとしない。どれだけ力を入れてもビクともしなかった扉。
だけど、イボクは頭の頑丈の野郎だった。扉を開けないぐらいで気を引かない。
もし玄関から入らなければ裏側の扉から入れば良いこと。
それを思いついたイボクは早速塔を一周回って玄関より他の扉を探している。だけど、まあ、一応予想通りに、扉はその玄関一つだけだった。
しかし、こんなことあろうかと予測していたイボクはもう一つ侵入するアイディアがある。それは、窓からの侵入だった。
塔の窓は細くて上に伸びる形の方だった。どう考えても普通の人間じゃそこには通れないだろう。
でも、ちょうど良かったことにイボクなら窓は通れる。だけど、問題はその窓に着くための高さ、ほぼ玄関と同じ高さだった。
イボクが手を挙げても届ける様子はなかった。イボクが跳んでも甚だしいぐらい遠すぎた。
こんなことあろうかと、イボクはまだ手段が残っている。
こんな時に自分が思った、成長をしないイボク、生まれつきほぼ同じ身長している。
日常生活用のものごとはいつも高い所に置いている。困っているイボクはその高さにたどり着くために、いつも支え物を持った。
支え物の椅子とか机を積もって、そしてそれの上に立って、なんとなく手が届くなる。
そんな苦労の人生、この時のためにある苦労だと感じてた。
イボクは机を探している。まあ、机に限らず、とにかく頑丈なもので、イボクを上に耐えられるもの、そしてそれが沢山あって、イボクを窓に届ける。
だけど、困ったことに周辺にそれらしいものはいなかった。周辺は森に囲まれて、民家なんて一つもいない。そういう訳では森を抜け出る必要がある。
窓の高さにたどり着くために、大体必要としている机は4つ。そして、イボクに持って行ける机の数は1つ。つまり、4回も振り出し戻る必要がある。
いいや、机の上に登れるための追加の椅子も要る。つまり、5回だ!
まあ、イボクには目標を達成するためにどんな一苦労ものってやるという覚悟だから、たとえ5回でも、100回でも乗ってやる!
イボクは森を抜け出した。だけど、森の入口辺りにたどり着くと、イボクは番人を目の当たりにした。入る時は番人居なかったはずなのに。どうして急に現るのか。
番人たちに気づかれずにイボクは付近の草木に忍ぶ。だけど、草木に触れると音を出す。
草木の音に二人の番人が気づいた。「誰だ?!」と、草木の音がする方へ向いて叫んだ二人の番人だった。
二人の番人は近づいた。そっと足を踏み入れ、怪しい草木を接近する。二人の番人は怪しいものを探ってあらゆる角度から確認して、視界を邪魔する草も少し荒らす。
だけど、怪しいものは見つけなかった。
イボクが隠れているのは番人たちが荒らした草のちょっと隣の草だった。まあ、番人たちも人間だから怪しいと感じる草が少し間違っていることもあるだろう。
けど、たとえ番人たちがイボクが隠れている草を間違わないとしても、ここら辺の草は結構短いものばかりだから、少しでもイボクの体が大きかったら即見つけられるのだろう。
「くそ!」小さい体に利があることを全然嬉しく思っていないイボクだったが。
しばらく時間がたった。怪しい草木に疑いを完全に忘れていた二人の番人はまた雑談をし始めている。彼らが話しているのは昨晩番人たちの宴会の話である。
「昨日は初めて僕が酒を飲みました。」と、左の番人は胸糞悪いといった表情で話していた。
「ひゃっはははは!あれはまさに滑稽だよ、後輩!まさかお前が酒に弱いなんて。一杯の半分を飲んだだけでもう酔っているなんて。なによりも、酔っているお前はなんとも重大な秘密をバラしていたぞ!」
「えぇ?!僕、なんか言ってたんですか?」
「コホン!」咳払いで話を続く右の番人。「お前、村長の孫に惚れたんだって?」右の番人が話しているのはイボクの従兄妹である。
イボクの従兄妹はマナという名前だった。彼女は村で一番美しい女の子だと知られている。肌が白雪姫みたいに白くて、背が高くて優雅で、顔立ちは誰もが太刀打ちするもんじゃないぐらい美貌だった。
でも、たとえマナがチビの従兄のイボクに対して酷くいじめるけど、他の人に対するだと実は優しかった。
笑顔は誰よりも明るい。態度は誰よりも丁寧である。
まあ、実際チビをいじめることはこの村の伝統みたいなもんだから、マナが人をいじめることを大目に見てやってくれ。
「ああ!そ、それはー!」頬が赤く染まる左の番人だった。
「まあ、無理もないか、この村に一番可愛い子ちゃんだからな。でも、一応聞いておくがラムー、あいつを好きになるっていうことは、この村の男たちがお前のライバルっていうんだぜ?ちょっとキツく言うけど、美顔のないお前にはあまりにも無理だよ!」と、夢のない現実を語る右の番人だった。
「分かっていますよ、それぐらい。。。けど、僕はーー!」
そんなどうでもいい話し合いの中、気づけば番人たちに話を掛けた人が現れた。
その人は紫色の袈裟着て、金の牛模様の首飾りを首に、そして三本の銀の腕輪を着ている。
体は尋常じゃない高さと禿げた頭、またはゴツい筋肉と優雅な姿勢。多分、この塔の管理人の一人である。
「コネ、ラムー、元気にしているか?!」と坊主さんは遠くから番人の二人を声をかける。
「おっ!ニーマさん!元気でやってます!また仕事ですか?」と、右の番人が笑顔で答える。
管理人、または坊主さんとも呼ばれている。やつの名はニーマ、イボクにとって少し縁のある人だ。
ニーマさんは良く村長と関わっている人だ。一応村長の家は自分の家だから、多少は会う。
そして、ある時、イボクはあの日たまたま家に閉じこもっていた。その日もニーマさんは家を訪ねていた。
あの時はニーマさんは村長とどうやら重大な話をしている。二人を後ろから見つめているイボクだったが、ニーマさんに目をむいたとき、ニーマさんはイボクの視線に気づいて、ニーマさんはイボクの方へ見て微笑んでいる。
それが人が初めてイボクに微笑みを見せた。
「こんにちは、ニーマさん!」新人の左の番人がそう挨拶をかける。
「こんにちは、ラムー!」と、挨拶を微笑みで返す坊主さん。「まあね、村長さんに頼まれてさ、『ゴミ掃除がある』って。」
だけど、別にイボクが心を許すつもりはない。。。
ニーマは森の中に入った。付近の草木に隠れているイボクはやつを尾行している。
森を抜けて、なんとか気づかれずに済んだ。ニーマは森の抜け口、塔の入り口に棒で作られている鐘楼の鐘を2回鳴らして、目を瞑って両手を合わせて、最敬礼のお辞儀を注ぐ。その体制を長く耐えて、それで塔を入る。
ニーマは塔の玄関についた。扉の牛の模様を眺めている。そしたらやつは笑う。そして、小さい声で「村長の言う通りだ」と呟く。
ニーマは扉を押している。良くも力を使っていないと見えるが、まんまと扉が開けている。イボクがあんなに苦労して開けたのに。これが身長の差っていうことなのか?
ニーマは中に入った。イボクも扉が開ける隙に中に忍び込もうと考えているが。でも、もしニーマが扉を開ける瞬間に忍び込んだら、すぐにニーマに気づかれてしまう。だけど、長く待てば扉は閉まるだろう。そう考えれば、手段は元に戻るっていうことだ。
番人たちが森を離れたその瞬間に机を持ち窓から侵入。抜け道がないっていうのはこういうことだな。
覚悟をできているイボクだったが、しばらく待てば、扉、閉まらなかった。どういうことだ、とイボクの疑問だった。ニーマの姿も見えてこないし、扉は開けっ放しで。もし、イボクのような盗人にはこのタイミングこそが絶好調である。
でも、イボクはもう子供じゃない。こんなことなんて罠が絶対だ。イボクを誘い、イボクをはめる絶対の罠に違いない。
だけど、もし、塔は中に人がある限り扉は閉まらないっていうのなら、この瞬間を見逃すわけにも行かないし。
そうやって、一か八かの博打でイボクは中に入った。けど、その前にも、イボクが中に入る前に、色んなことを確認しなきゃならない。塔の中の確認、外の確認も、扉の確認もしてきたイボクは、全部安全だと確信して中に入った。
中に入ったイボクだったが、扉は、これからが始まるかのような音を語って、閉まっている。
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