さてアバターを選ぼうかいのぅ、んっ?その前に、じゃと?

無事にログインできていた…っうことらしいわぇ。

じゃがのぅ…なんで雲の上でじゃ、天使が案内にくるんじゃぁっ!

紛らわしいにも、ほどがあるわっ!


思わずジト目で見てしもうたわけじゃが…


「いや、あのですね…

 今から、どの惑星のどこからゲームを始めるか決めるわけです。


 運営側からは、『プレイヤーが天から地へ生まれ変わるようなものだから、このシチュエーションで』っとお達しがですねぇ…」


おそらくはじゃ、天使さんはAIなのじゃろな。

ってものぅ、実に人間臭いぞぇ。


「お主…実は、中身がおるじゃろ?」ったらの、キョトンっとしちょるな。


「中身…中身ですかぁ?

 中身ということは、外身もあるわけで…

 中身と外身?

 どういう意味なのでしょう」


ちょw

まさか、中身っという問いにの、悩むとは思わなんだわい。


「いや…お主、AIかえ?」ったらの

「そうですけど?

 人間が操るアバターだと思いまし…あっ!中身っ!そういうこと?

 運営の方がアバターを操っているとか、思われてました?」


いや、人間臭すぎじゃろがい。


「ほぅじゃな、表情もじゃが…実に感情豊かゆえにのぅ。

 儂専任のAIアンドロイドさんっと比べたらじゃ、雲泥の差じゃてな」


そう、さなえさんと比べたら、実に感情豊かでな。

なにせ、さなえさんはの、儂を抱えて歩いても平然としちょるでな。


普通は恥ずかしがったりするじゃろ?

以前にの、近所の悪ガキがさなえさんのスカートを捲ったことがあったのじゃが…


うん、そのな、平然との。


逆にスカートを捲った悪ガキがの、無反応で無表情なさなえさんにビビっておったわぇ。


「そのような劣化AIと比較されましとも…」っと、困ったように。


さなえさんのAIが劣化AI?

どういうことなんじゃろか?


アンドロイドとはいえ、いつも世話になっちょる身内みたいな、さなえさんを悪し様に言われたようにも感じるの。


ゆえに、少々言い方が荒く…

「どういう意味じゃ?」っとの。


「あっ、いえ…悪く言った感じになったようで、申し訳ありません。

 実はですね。

 世に出ているAIは、ここの研究結果による副産物なんです。


 この世界のAIは、仮想世界にて独自に進化しつつ、より高度な知性体となりまして…

 そんなAIを完全に再現はできておりませんが、模倣した劣化型なら造り出せております。


 そういうことから、先ほどのですねぇ」


あぁ、なるほどのぅ。

さなえさんのAIが造られる元となったのが、この世界のAIかぇ。

しかも再現不十分な模倣品。


なれば、仕方あるまいの。


「了解じゃて。

 それで儂は、ここで何をすればよいのじゃ?

 アバター作成じゃと思っちょるんじゃが…どがぁな種族が選べるんじゃろか」


エルフかのぅ、ドワーフはないの、竜人とかあるじゃろか?

夢が広がるの、ワクワクじゃてな。


そのように思うておったらじゃ。


「種族を選ぶには、まず開始する惑星を選ばなければならないんです。

 1種族しか存在しない惑星もありますので。


 ただ…多種族が住む惑星スタートは、ご新規様にはお薦めしません。

 非常に厳しいプレイとなりますので」っと、そんなことをの。


「それは、どういう意味なんじゃ?

 多種族混合の世界にてプレイするが、ファンタジー系ゲームの醍醐味じゃと思うのじゃけどのぅ」


一応リトルエデンは魔法も存在する、ファンタジー系じゃとの話しじゃったはずしゃわい。


「あのですね、この仮想世界はゲームありきではなく、仮想研究世界を間借りしたゲームなんです。

 ゆえに、この世界に準拠した形ではありますが、リアルな世界と考えてください。


 そうなりますと…異種族混合である世界が平和だと思います?

 単一種族しか暮らさない地球で争いが絶えませんよね?」っと、そんなことをの。


たしかに…肌の違いだの、宗教や文化の違いで、人は争いよるわい。


なのにじゃ、姿形が異なる異種族が、同じ惑星内で暮らしておったら…そら、争いごとが絶えんか…


「争乱の惑星…ちゅうことかのぅ?」

「そうなります。

 ログインしても無事に過ごせずに、ゲームオーバー的な強制ログアウトとなる方が大半となりますね」


たしかに…そんな場所へのログインは、嫌じゃわいっ!

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