花火は今年どうする?3️⃣李仁と湊音編(777文字)

 李仁たちは仲睦まじくいろんな店の屋台を楽しむ。知り合いもたくさんいて李仁は手を振ったり話したり。

 でも二人が仲睦まじくいるとまたね、と。

「こうして二人でお祭り行くの久しぶりだね」

「そうね、去年はどうしたっけ」

「忘れた? ベランダから見てたじゃん」

「あー……」

「あーじゃないじゃん。忘れないで」

 湊音はふくれっつら。李仁は笑う。

「覚えてるわよ、ベランダでラブラブしたじゃん」

「そういうのは覚えてるんだ……」

「ふふふっ」

 二人見つめあって笑い合う。


「シバたち、仲良くしてるかな?」

「大丈夫じゃない?」

「初めての夏祭りデートなのにジュリ不機嫌だったし」

「シバがあんなんだってわかってるからいいのよ」

 湊音は首を横に振る。

「いや、僕は嫌だよ……」

「まぁムードはなさそうよね」

「だから解散させたってのもある。二人で楽しんでほしいし」

「あらー、そうだったのねミナくん。でも本当は二人きりになりたかっただけでしょ?」

 図星な湊音。


「……そうだったりもする」

「ふふふ、素直じゃないミナくん」


 湊音はぎゅっと李仁の手を握る。だんだん夕暮れに近づいてきてさらに人手も増えてくる。

「パエリアとカオマンガイ買ったからメール送ろっか」

「そうだね。二人は何買うかなぁ」

「いろいろ食べれるのもいいね。祭り、楽しい」

「あとお酒も買う?」

「うん……たまには飲みたいかも」

「あら、飲んじゃう?」

「明日も休みだしね」

 すると李仁が何かを思いついたようだ。

「ねぇ……」

「ん?」

「やっぱ家戻ってベランダで見ようよ」

「……僕もそう思ってたの」

 湊音が李仁との耳元で話した。

「なんかすっごく李仁に抱かれたい」

 顔を真っ赤にする。李仁はそんな湊音を見て

「うん、思いっきり抱きたい。今すぐ……」

 二人はクラフトビールを買って花火会場とは逆らって自分たちのアパートに向かった。

 やっぱり二人は二人きりがいいのだ。こんな時でも……。

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