花火は今年どうする?4️⃣シバとジュリ編
「湊音たち、マンションに戻るらしいぜ」
シバはメールを見た。
「あら、熱中症かしら」
「いんや、セックスしたくなったんじゃね? あいつら高校生カップルかよ」
「……お盛んねーあの二人は」
ジュリは相変わらず不機嫌。シバはその様子を見て眉を下げる。
「ジュリさ、さっきから視察ばっかり……少しはリラックスリラックスー」
とビール片手に頬を赤らめているシバ。もう二杯目。ジュリにもビールを渡す。少し口をつけシバに返す。
「そんだけでいいのかよ」
「うん」
やはり浮かない顔をしている。
「体調でも悪いか?」
シバが顔を覗き込むと
「……じゃないってわかってるでしょ」
ツンツンとした返答をするジュリ。さすがのシバもこれには困ったものである。
二人はしばらく離れて歩く。でも人が増えさらに距離ができそうになる。
ガシッとシバがジュリの手を握る。
「バカ、ぼやっとしてたら離れ離れになるぞ」
「……ありがとう」
ジュリは手を繋ぐ。
「楽しもうぜ、夏祭り」
シバはいつも通りニカーッと笑うとジュリもつられて笑った。
二人は手を繋いでしばらく人混みの中を歩く。ジュリが水をシバに渡したり扇子を仰いだり。
シバも団扇でジュリに仰ぐ。ようやく指定席に着いた。
「私ね、デートでお祭り初めてなの」
「そうなの?!」
「……だからすごく今日は楽しみだった」
はにかむジュリ。するとシバは
「浴衣、似合ってる」
と言うと
「それ、見せた時に言いなさいよ」
ジュリが扇子をシバの頬にピシャッと当てる。
「……すまん」
「いいよ、あんたらしい」
二人は買ってきたご飯を食べながら花火の時間までいろいろ話しながら待つ。
そして花火の時間。
1発目が上がる。
「たまやー」
ジュリが言う。
「いいねぇー」
とシバはジュリの横顔を見る。とても楽しそうに花火を見つめる姿にいつもとは違う色気を感じる。
「花火見なさいよ」
「おう」
シバはジュリの手を繋ぎ、2発目上がった頃にキスをした。
「こら、人が他にもいるのに」
「他のやつも花火しか見てない」
「もう……」
と3発目の時にジュリからシバにキスをする。そして二人笑って見つめ合う。
「マンションで李仁たちセックスしてるかなー」
「花火よりも先にやってんだろ」
「かもね」
二人手を絡め合う。
「セックスしたい」
「うち帰ったらしまくろうぜ」
「言葉慎みなさい」
二人初めての夏祭りデート。すごく幸せだとジュリは嬉しかった。
だが帰ったあとシバが酔い潰れて寝てしまったのは言うまでもなかった。
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