何年桜(777文字)
今年は急に暖かくなった。そして一気に桜が咲き、春が来た。
ちょうど湊音も李仁も休みだったので2人でデート。
李仁の運転する車に乗って桜のアーチをくぐる。ところどころに桜を撮影する人たち。
「今年も綺麗に咲いたよね」
「そうね、でも入学シーズンよりも早くて……あら、ランドセル背負って撮影してるー可愛いね」
「よそ見しちゃだめだよ」
そしてアーチを抜けてしばらく下っていく。神社付近の公園の桜も綺麗に咲く。
一旦そこに止めて公園内に入る。まだ花見客はいないが、花見する際には予約が必要だと。
親子連れもちらほら。
そして公園内にある滑り台もある高台を2人して登る。すると市内を展望できるのだ。
「天気いいから景色の眺めサイコー!」
「だねー」
とはしゃぐが下にいる子連れが気になってまぁそこそこにするかと2人は高台から降りてまた車に乗る。
そしてその先をさらに進むと大きな桜が咲き誇る教会が見えた。
「ここはなかなか咲いてる時に行けないから思い切って来て正解だったね」
「そうそう、ずっと予定合わなくてまた今度とか言ってたら散っちゃってたのよね」
ようやく見れた教会の桜。特に2人は信仰しているわけではないが教会で式を挙げたかった。でも信者でないと何回も通わなくてはダメで断念した。
この桜を見に他にもちらほらと観光客も来た。よく見ると他県ナンバーの車。
湊音は堂々と手を繋ぐ。こんな綺麗な景色見ていたらそうせざるおえない。李仁も握り返す。
「また来年もね見よう」
「うん」
いくら湊音がシバと関係を持っても李仁が離れないのは、シバとはこういう場所には行かないからであって。
そして「また来年も」と約束することで来年もずっといる、そばにいるを確約したのは自分だけ。それで安心しているのだ。
李仁はほっとして湊音を見て微笑む。
「何笑ってるの」
「ううん、なにも」
なにも、だなんてない李仁の微笑みであった。
終
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます